
山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)
結婚前に行うカウンセリングです。プリマリタルとは、英語の [ premarital(意味:結婚前の)] です。
個人カウンセリング:60分・8,000円
夫婦カウンセリング:90分・12,000円
体験カウンセリング:30分・4,000円
※ 税込価格
結婚前にカウンセリングを行う目的は主に2つです。
1つ目は、結婚後の2人の関係・結婚生活をより良くするため。2つ目は、マリッジブルーなどの個人的な問題の対処です。
当カウンセリングルームでも、2人の関係を良くするために、問題と感じていることについて、カウンセラーを交えて話し合いを行い、その上でカウンセラーから意見やアドバイスがほしいという要望が多いです。交際中の相手と結婚して大丈夫だろうか?という相談もあります。
始まりはアメリカとされています。目的は離婚の予防です。日本でも離婚はめずらしくなくなりましたが、それでも離婚は本人、家族に大きな負担を強います。問題を抱えたご夫婦からお子さんの話を聞くと、胸が締め付けられる思いになることがあります。
離婚の3割は結婚5年未満の夫婦によるものです。下表は厚生労働省の人口動態統計より抜粋した数字です。10年未満まで広げると総数の約5割になります。
年度 | 総数 | 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 15年未満 | 15年以上 20年未満 | 20年以上 | 不 詳 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2019年 | 208,496 | 63,826 | 40,052 | 27,220 | 22,629 | 40,396 | 14,373 |
2018年 | 208,333 | 64,862 | 40,863 | 27,597 | 22,460 | 38,537 | 14,014 |
2017年 | 212,296 | 66,502 | 42,339 | 28,232 | 22,956 | 38,288 | 13,979 |
2016年 | 216,856 | 68,028 | 44,407 | 29,537 | 22,995 | 37,609 | 14,280 |
2015年 | 226,238 | 71,729 | 47,086 | 31,112 | 23,942 | 38,648 | 13,721 |
2019年の婚姻件数は599,007件です。単純に数字だけ比較すると、婚姻件数の3分の1の夫婦が離婚していることになります。
令和3年4月に公表された法務省の『協議離婚(1)に関する実態についての調査研究業務報告書の公表について』によると、離婚原因の第1位は性格の不一致」でした。
順位 | 原因 |
1位 | 性格の不一致 |
2位 | 身体的な暴力 |
3位 | 精神的な暴力 |
4位 | 経済的な暴力 |
5位 | 子への虐待 |
そもそも、性格の不一致は問題なのでしょうか。不一致は必ず起きると考えるのが現実的です。不一致が起きても、互いが受け入れられる着地点が見出せるコミュニケーションができれば、そのような関係性であれば、不一致による危機はむしろ、発展の機会になるかもしれません。
(1)協議離婚
協議離婚とは、夫婦が合意して離婚することです。第三者の関与はありません。離婚の約9割が協議離婚です。他に、調停離婚、審判離婚、裁判離婚があります。夫婦の話し合いがまとまらない場合に行われます。
【参考文献】
法務省:協議離婚に関する実態についての調査研究業務報告書の公表について https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00244.html?utm_source=pocket_mylist(2022年11月2日閲覧)
メンタルヘルスには以下の3つの予防があります。
一般的に予防というと、一次予防を想像すると思います。二次・三次は治療と呼ぶ方がしっくりくると思います。数字が上がるほど回復に時間がかかり、負担が大きくなるのは説明するまでもないと思います。
夫婦に当てはめると、以下のようになるかもしれません。
夫婦カウンセリングで来談される夫婦の多くは、二次・三次予防の状態です。解決には時間と労力要します。離婚に至るケースも当然あります。結婚前(プリマリタル)カウンセリングは、一次予防的な取り組みです。
夫婦の問題・危機が起きやすいのは、ライフステージが変わるときです。子どもができてから関係が悪化するは、多くの夫婦に共通する経験です。子どもが生まれると、妻と夫の役割に加えて、母と父の役割が生じます。この変化の時期に危機が起きやすくなります。
家族ライフサイクルは以下のページをご参照下さい。
コミュニケーションによって関係が育まれ、コミュニケーションによって関係が壊れます。日常的な会話は楽しいけれど、大切なことについて話ができない、相手がどう考えているのかわからない、という状態は、関係を育むコミュニケーションとは言いがたいです。
根拠のない「結婚したら変わってくれるだろう」の期待は概ね裏切られます。むしろ、結婚前に感じる違和感や不満は、結婚後に数倍になることもめずらしくありません。しっかりコミュニケーションを取ることが望まれます。
結婚観・夫婦観は事前にすり合わせておくことが望ましいです。例えば、お金、仕事、子ども、家事・育児などです。特にお金は夫婦ケンカの理由第1位とされることが多いです。
お金の管理は、妻が夫の収入を含むすべての家計を管理する家庭があれば、逆に夫が管理する家庭もあります。共働き夫婦には、生活費の分担を決めて、残りはそれぞれが個人で管理する場合もあります。生活費分担スタイルでは、育児休暇などで一方の収入が減る時期のことも考えておく必要があります。
第16回出生動向基本調査(公表日:2022年9月9日)によると、未婚女性が理想とするライフコースは、出産後も仕事を続ける(仕事と家庭の)両立コースが最多となりました。男性が配偶者に求めるライフコースも両立コースが最多となりました。
第16回出生動向基本調査 結果の概要
https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16gaiyo.pdf
男性が女性に経済力を求めると同時に、男性に家事・育児能力と姿勢を求める女性が増加しています。当然ですね。その点に同意していても、認識の差が問題になることがあります。「俺はちゃんとやっている」、「中途半端で結局は私がやる」という感じです。
育児の負荷が高く、心と身体が削られるのは乳幼児期です。この時期の思い出は「孤軍奮闘と苦しみの連続」という人が、配偶者に対する恨みを10年も20年持ち続けている例があります。
実家との距離感の違いも衝突の原因の一つです。実親であっても適度が境界が必要ですが、境界が薄かったり、簡単に境界を越えて干渉されるなどが起きると、夫婦の関係には悪影響です。
一次予防が重要と主張しましたが、実際のところ人は、問題が起こるまで行動を起こすのはむずかしいと思います。それでも、一次予防に取り組めるカップルには是非、利用していただきたいと思います。
同時に、結婚初期の夫婦に二次予防(早期発見・早期治療)としてのカウンセリングをオススメします。「どうして?」「こんなはずでは」と頭の中でつぶやく機会が増えたと感じたら、一つの目安になると思います。