離婚の悩み

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)
離婚か否かで悩んでいる夫婦のイメージ

離婚カウンセリングとは、離婚を目的とするものではありません。心の整理を進めて決断に向かうサポートと、お二人の話し合いが円滑に行われるサポートです。

離婚すべきか修復すべきか

日本では年間約20万組の夫婦が離婚しています。婚姻件数が年間約60万組なので、単純に数字だけを比較すると、3分の1の夫婦が離婚することになります。離婚がめずらしくない時代になって久しいですが、それでも離婚は人生における一大事であり、その決断は簡単なことではありません。

離婚を考えざるを得なくなったとはいえ、元々は縁があって一緒になった二人です。楽しい思い出、幸せな思い出も当然あるでしょう。葛藤するのは当然のことです。頭の中にたくさんの想いがあふれ出て、考えること自体が困難かもしれません。

安心安全な場所で安心安全な相手に話すことで整理が進むはずです。話すという行為そのものが整理の第一歩になるはずです。

決断したけれど

離婚を後悔しているイメージ

離婚または修復の決断をしたけれど、「果たしてこれで本当に良いのだろうか(良かったのだろうか)」と迷いが出るのも当然のことと思います。離婚後の不安には色々なものがありますが、誰もが不安になるのは、子どものこと、お金のことです。

修復を決めたけれど、「本当に夫(妻)は変わるのだろうか」「自分は変われるのだろうか」「今は努力しているけれど、今だけで続かないのでは」等々の不安が生じるのは当然のことと思います。

不安を感じながらもこれからの人生に向かっていくあなたをサポートします。

離婚したくなかった

相手から意に反する離婚を求められて、努力も虚しく離婚を受け入れざるを得ないケースがあります。色々ありながらも幸せで安定していた毎日。それらを突然失うショックを乗り越えられずに、抑うつ状態になることもめずらしくありません。

そのショックから回復して、ご自身のこれからの人生に向かって歩み出すお手伝いをします。

話し合いさえできない

葛藤している男性

子どものことを考えると、できれば離婚は避けたい。しかし、二人の話し合いは、毎回衝突して堂々巡り。離婚を決断する前に話し合いをしたい。しかし、話し合いさえできない。そのようなお二人の話し合いにカウンセラーが参加して、円滑な話し合いが行われるサポートを行います。

離婚または修復を決断するまでのプロセス

離婚または修復の決断に至るプロセスは、キューブラー・ロスのモデルを参考にして理解することができます。喪失や重大な出来事に対する心理的な反応を説明するモデルです。

否認

問題の存在を認めたくない段階です。「こんなことは起きていない」と感じ、現実から目を背けることがあります。例えば、夫婦のどちらか、または両方が、関係が悪化している事実を否認し、表面的には普段通りの生活を続けようとします。

怒り

問題を認めざるを得ず、それに対する怒りや不満が強く現れる段階です。夫婦間で頻繁に喧嘩が起こり、お互いに対する批判や非難が増えます。周囲の人々にも怒りを向けることがあります。

取引

問題解決を試みます。様々な手段を模索します。夫婦がカウンセリングを受けたり、新しいルールを設けたりして、関係を修復しようと試みます。解決に至ることもあれば、一時的な改善で終わることもあります。

抑うつ

問題が解決しない現実に直面し、深い悲しみや絶望感を感じる段階です。夫婦の一方または両方が、関係改善が不可能であると感じ、無力感や虚しさに陥ります。

受容

現実を受け入れ、次のステップを考える段階です。離婚を決断して新しい人生を歩む準備を始める、もしくは、修復・再構築に向けて努力を続ける決断をします。

離婚または修復を決断する過程において、堂々巡りに陥るなどの苦痛を味わうことになるはずです。カウンセリングは、その気持ちに寄り添い、心の整理を進めるサポートを行います。また、決断後に直面する困難に対するサポートも行います。