執筆者:公認心理師・山崎孝
【HSP】敏感で繊細な方のカウンセリング


HSPの特性によって「生きづらさ」を抱えている方をサポートします。人と環境との相互作用を変化させることで解決を図ります。人に問題を見出さない、人に優しいカウンセリングです。
繊細さの長所を大切に、かつ解決を構築する
HSP(Highly Sensitive Person)
「繊細さん」でブームになったHSP。日常の刺激や環境の変化に対してとても敏感な人、ひとことで言うと、感受性の高い人です。共感力や情報処理能力が高い等の長所がある一方で、刺激やストレスにより疲れやすい面もあります。
カウンセリングの意義
HSPの人は、その敏感さゆえに日常生活でのストレスや対人関係の問題、自己理解の困難さなどの課題を持つことがあります。カウンセリングでは、HSPの特性を理解し、長所を活かしながら、これらの課題を乗り越える手助けをします。
下記はHSPの特性を持つ方のカウンセリングの感想です。
HSPとは
HSPの概念はアメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士によって、1990年代に提唱されました。彼女はこの特性を持つ人々の特徴やニーズについての研究を多数行い、HSPの存在とその特性についての理解を深めるための多くの著書や論文を発表しています。
定義
HSP(Highly Sensitive Person)は、外部の刺激や環境の変化に対して、特に敏感に反応する人々を指す概念です。
これらの人々は、音、光、匂い、他人の感情などの刺激に対して強い感受性を持ち、それが原因で過度なストレスや疲れを感じやすい傾向があります。子どものHSPをHSC(The Highly Sensitive Child)と呼びます。
精神医学・臨床心理学見地から
HSPは病気や障害を表すものでありません。ある一定の人々に見られる個性や特性の一つと考えられています。高い感受性によって、過度なストレスや疲れ、不安、抑うつなどの心理的な問題を抱えやすくなることが知られています。
一部の研究では、HSPの人々は脳の特定の部分が、非HSPの人々とは異なる活動を示すことが示唆されています。これは、HSPの人々が刺激を処理する方法や、感情を感じる方法に違いがあることを示している可能性があります。
日本での広がり
日本で認知されるようになったのは近年です。火付け役は『「繊細さん」の本』でしょう。『「繊細さん」の本』をきっかけに、テレビ番組や雑誌、ウェブメディアなどで取り上げられることが増え、一般の認知度が上がりました。
HSPの特徴

HSPの特性は大きく4つに分類されています。
HSPの特性は文脈によって、プラスとしてもマイナスとしても作用することがあります。HSP自体は良いものでも悪いものでもありません。プラスはそのまま活かして、マイナスにうまく対処する方法を身につけることが望まれます。
深く考える
HSPの人は、物事を深く考える傾向があります。一つ一つの出来事や情報に対して、多角的に考察する傾向が強いです。
プラスの例
複雑な問題やアイディアを深く考える能力があるため、独自の洞察や解決策を見つけることができる。
マイナスの例
過度に考えすぎることで、過度な心配や不安を感じることがある。
刺激を受けやすい
騒音や人混みなど、多くの刺激がある環境では疲れやすく、ストレスを感じやすいです。
プラスの例
環境の変化や新しい情報に迅速に反応できる。
マイナスの例
騒音や混雑などの過度な刺激によって疲れやすく、ストレスを感じやすい。
情緒的な反応と高い共感性
自分自身、または他人の感情に対して非常に敏感です。そのため、人々の気持ちを理解する能力が高く、共感する力も強いです。
プラスの例
他人の感情やニーズに敏感で、共感する能力が高いため、人間関係の深化やサポート役としての役割を果たすことができる。
マイナスの例
他人の感情に過度に影響されやすく、ネガティブな感情を強く受け取ることがある。
微細な違いに敏感
細かい違いや変化に気づきやすく、それが気になることが多いです。
プラスの例
細かいディテールや変化に気づきやすいため、芸術や研究などの分野での洞察力を持つ。
マイナスの例
他の人々が気づかないような微細な刺激や変化に反応し、それがストレスや不安の原因となることがある。
HSPチェックリスト
以下はHSPのチェックリストです。以下の23項目のうち12個以上当てはまると、HSPである可能性が高いとしています。ただし、科学的根拠を示されたものではありません。参考程度にして下さい。
エレイン・N・アーロン 冨田香里訳 2008 ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 SBクリエイティブ より引用
なぜカウンセリングなのか
インターネットや書籍から、HSPの情報を豊富に得られます。それでも、カウンセリングは有益であるという理由をあげてみます。
個別の対応
インターネットや書籍の情報は一般的なものであり、個々の状況や背景に合わせたアドバイスやサポートは限られています。カウンセリングでは、個人の具体的な悩みや背景に基づいたアプローチが可能です。
感情の処理
HSPの方は、他者よりも感情が強く影響を受けやすいため、その感情を適切に処理するスキルが必要です。カウンセリングでは、感情の処理方法を学ぶことができます。
安全な場
HSPの方は、過度な刺激やストレスから身を守るための環境が必要です。カウンセリングは、そのような安全な場を提供し、自分の感じることや考えることをオープンに話すことができます。
自己理解の深化
カウンセリングを通じて、自分自身の感受性や反応のパターンを理解することができます。これにより、自分の特性を受け入れ、それを強みとして活かす方法を見つけることができます。
対人関係のサポート
HSPの方は、対人関係でのストレスや誤解を感じやすいことがあります。カウンセリングでは、これらの問題を解決するためのコミュニケーションスキルや対処法を学ぶことができます。
専門家のフィードバック
インターネットや書籍からは、直接的なフィードバックが得られません。しかし、カウンセリングでは、専門家からの具体的なアドバイスやフィードバックを受け取ることができます。
継続的なサポート
生きづらさを感じる場面は、日常の中で突如として現れることがあります。カウンセリングは継続的に受けることができ、長期的なサポートを受けることができます。
カウンセリングの考え方
心理療法には多数の学派があります。当カウンセリングルームでは、ブリーフセラピー(短期療法、解決志向アプローチ)と認知行動療法にてサポートします。基本的な考え方を紹介します。
「生きづらさ」の解決を目指す
HSP(である自分)を変えるのではなく、HSPによる「生きづらさ」の解決を目指します。
HSPは個性でもあります。個性は常にマイナスに作用するわけではありません。プラスに作用する場面も大いにあります。今の自分のままで、マイナスに作用する場面における、対処力の向上を目指します。
具体的な障害(悩み・困りごと)の解決を積み重ねる

上図「HSPのカウンセリング」に当てはめると、以下のように解決に向かいます。
①「具体的な悩み」の対処力が向上すれば
②「悩みの種類」全般への対処力が向上して
③「特徴」全般への対処力の向上につながります
当カウンセリングルームでは、「HSPの悩み」に取り組むとき、生活においてどのような障害(悩み・困りごと)が起きているかを具体的に伺っていきます。
具体的であるほど、具体的な解決像を描けます。具体的な支援策を考えやすくなります。進歩と成長を計測しやすくなります。効果を実感しやすくなります。小さな解決を積み重ねて、大きな解決に向かいます。
「具体的な悩みに取り組むだけでは根本的な解決にならないのでは?」と考える方がいらっしゃるかもしれません。根本的な解決が同じことを繰り返さないを意味するのであれば、むしろ具体的な悩みに取り組む方が有効です。詳しくは以下のページに書いてみました。興味がある方はぜひご覧下さい。