カウンセリングの流れ

執筆者:公認心理師・山崎孝
カウンセリングの流れ

初回から終結まで、どれくらいの間隔で何回くらいのセッションが必要なのか。人により、相談により異なるのが実際のところですが、そのような答えでは身も蓋もありません。目安になりそうな情報を書いてみたいと思います。

一般的なカウンセリングのプロセスは、初期・中期・後期の3つの段階があるとされています。それぞれの段階で行われるのは以下の通りです。

【初期】

何はともあれ関係づくりです。カウンセリングは、教師と先生、上司と部下のような上下関係ではありません。来談者さんとカウンセラーが二人三脚でゴールに向かう対等な関係です。相談内容や来談のきっかけ、これまでの対処、等々の情報を伺う過程は信頼関係を構築する過程でもあります。

初期の主要な取り組みは、問題や問題を維持している悪循環の明確化とカウンセリングにおける目標設定です。それらは来談者さんとカウンセラーの協働作業で行われます。それらを共有して進められます。

【中期】

中期では、問題解決と目標達成に向けて具体的な取り組みが行われます。認知行動療法では、認知再構成、問題解決技法、行動実験、行動活性化などです。カウンセラーは、来談者さんが日常生活でそれらを試すなどして、自己解決できるようにサポートします。

【後期】

これまでの取り組みの振り返りを行います。再発予防や、今後起こりうることにどのように活用するか等を話し合います。

終結後に追加のセッション(ブースターセッションという)を行うこともあります。問題が再発していないか等の確認を行うなどします。カウンセリングの終結にさびしさや不安を感じる来談者さんもいらっしゃいます。ブースターセッションを行えるとわかっていれば、それらの感情を和らげることができます。

厳密に以上のように進むわけではありません。行ったり来たりすることもあります。あくまで目安と考えて下さい。

厚生労働省のホームページに公開されている認知行動療法のマニュアルでは、うつ病等の精神疾患の場合、週1回のセッションを12回から16回を行うのを基本としています。

当カウンセリングルームの場合、病理的ではないけれど、生きづらさ・暮らしづらさを抱えているという方が多く利用されています。6回前後で終結される方が多いです。夫婦・カップルのカウンセリングも同じく6回前後のケースが多いです。常に6回で終結するというわけではありません。

来談の間隔は2週間の方が多いです。カウンセラーが指示するのではなく、来談者さんと相談して決定します。来談者さんの状態によっては「1週間で来てほしい」のようにリクエストすることもあります。リクエストを無条件に受け入れる必要はありません。「○○の理由で2週間毎にしたい」など遠慮なくおっしゃって下さい。遠慮なく言える関係性が良いカウンセリングを作ります。

この件に限らず、疑問、要望など、遠慮なくおっしゃって下さい。疑問などありましたら、納得いくまで話し合いましょう。それができる関係性が大切です。カウンセリング中、一時的に気持ちがしんどくなることがあります。避けていたことに直面するなどの機会で起こります。しんどくなったときも遠慮なくおっしゃって下さい。