突然の不倫の発覚。信じていたパートナーの裏切りに、心が引き裂かれるような痛みを感じているのではないでしょうか。
「なぜ、私が…」
「これからどうすればいいの…」
「この痛みはいつまで続くの…」
そのような思いで押しつぶされそうになっているあなたへ。
また、過ちを犯してしまい、パートナーの深い悲しみに向き合う中で、自分を責め、どのように接してよいのか分からず苦しんでいる方もいらっしゃるでしょう。
不倫による深い心の傷は、時間が解決してくれるものではありません。しかし、適切なケアと支援があれば、必ず回復への道があります。実際に、多くの方が同じ痛みを乗り越え、新たな関係を築いています。
当カウンセリングルームでは、豊富な経験を持つ公認心理師が、お二人の状況を丁寧に理解し、回復に向けた具体的な道筋を一緒に見つけていきます。
心の傷を理解する(過去・現在・未来の傷)
パートナーの不倫は、あなたの心に深い傷を残します。それは、単なる一時的なショックではなく、過去の幸せな思い出、現在の生活、そして未来への希望、すべてに影を落とす深刻なものです。ここでは、その心の傷と具体的に向き合っていきます。
トラウマの症状
不倫は、信頼していたパートナーに裏切られる経験です。心が処理しきれないほどの傷となり、トラウマに相当する傷を負うことがあります。トラウマには次の症状があります。
- 侵入症状:フラッシュバックや悪夢、不倫の記憶が頭の中に突然よみがえります。
- 過覚醒:常に緊張し、不安や恐怖を感じます。
- 回避・逃避:不倫を思い出させることを避けるようになります。
- 思考と感情の陰性症状:自分を責めてしまったり、人を信じられなくなったりします。
これらの反応は、大きなショック体験から心を守るための自然な反応ではありますが、大きな苦痛をもたらします。
大切な「過去」を失う経験
不倫による傷は現在だけのものではなく、過去も傷つき意味が変わる経験です。
不倫は、楽しかった思い出や、安心できる家庭を壊してしまう悲しい出来事です。現在の傷つきだけではなく、過去も傷つけてしまいます。「これまでの夫婦・家族生活は何だったのだろう」と虚しさに包まれます。
- 幸せな思い出が壊れてしまい、純粋に楽しめなくなります。
- 家庭の雰囲気が悪くなり、子どもにも影響を与えてしまう可能性があります。
- 未来への希望を失い、未来が見えなくなってしまうことがあります。
「未来」にも影を落とす
不倫による傷は現在だけのものではなく、未来も傷つけることになります。将来に期待を持てなくなるなど、これからの人生にも影を落とします。
- 記念日が、不倫を思い出させる辛い日になってしまうことがあります。
- 楽しいはずの予定が、疑心暗鬼になり楽しめなくなることがあります。
- 「これからも不安を抱えながら生きていくのだろうか」
- 「この苦しみを乗り越えられるときが来るとは思えない」
周囲の人との関係が変わる
不倫によって傷ついた心は、周りの人との関係にも影響を与えます。
- 自分を責めて、自信を失ってしまうことがあります。
- 人を信じることが怖くなってしまうことがあります。
- 社会に対して不安や恐怖を感じるようになることがあります。
日常生活にも影響が出る
不倫による心の傷は、日常生活にも影響します。
- 不安や落ち込み、眠れない、食欲がないなどの症状が現れることがあります。
- 仕事に集中できなくなったり、ミスが増えたりすることがあります。
- 人と関わるのが億劫になり、孤立してしまうことがあります。
- 子どもに対してイライラしやすくなったり、過剰に優しくしてしまったりすることがあります。
不倫のよる傷は現在だけにとどまらず、過去にも未来にも及びます。大きな影響を受けますが、心の傷を理解し、適切なケアをすることで、少しずつ回復していくことができます。
不倫による心の傷については以下のページにて説明しています。
詳細ページ:不倫のフラッシュバックに寄り添う
再構築の困難と希望
再構築は決して簡単な道のりではありません。「もう別れようか…」と考えることもあるでしょう。どちらの選択が正しいのか、迷うことがあるのは当然のことでしょう。
再構築を目指す道のりでは、以下のような困難が待ち受けています。しかし、それを乗り越えた先に新たな希望が見えることもあります。
傷つけた側が直面する困難
不倫からの再構築で直面する困難の一つが、傷つけた側が傷ついた心をケアしなければならないことです。この過程をカウンセラーに丸投げしようとする人がいます。この場合、再構築はうまくいきません。
不倫をした側に求められるのは、傷つけられた側の感情を理解し、それに寄り添うことです。しかし、それは決して容易ではありません。
- 怒りなど強い感情の対処
- 傷ついた心が回復する過程では、怒りなどの強い感情を向けられることは避けられません。傷つけた側は受け止める必要があります。
- しかし、怒りや悲しみが頻繁にぶつけられることで、疲労感や無力感を感じることがあります。受け止めきれず、逆ギレしてしまうこともめずらしくありません。
- 新たな行動の習慣化
- 信頼を取り戻すために行動を変えることが必要です。
- しかし、人間は習慣の生き物です。過去の行動パターンから抜け出すのがむずかしいときがあります。
- 罪悪感や自己嫌悪
- 自分の行為が引き起こした結果に向き合うことは、強い罪悪感を伴います。「自分は許される価値がない」と感じ、関係修復への意欲を失いかけることもあります。
傷つけられた側が直面する困難
不倫をされた側は、先の紹介したトラウマに相当する傷を負い、また、再構築の過程で多くの葛藤に直面します。
- 再発の不安
- パートナーの言葉や行動に疑念を抱き、過剰に警戒してしまうことがあります。職場不倫のように毎日顔を合わせる状態なら尚更です。
- 完全な安全を感じるのが難しいため、心が常に緊張状態になります。
- 怒りや悲しみなど感情のコントロール
- 感情の波が激しくなり、自分でもその制御がむずかしいと感じることがあります。
- 新たな傷つき
- 傷つけた側の「前を向こう」という言葉や、ときには逆ギレされることによって、新たな傷を負うことがめずらしくありません。
再構築における重要な要素
再構築を果たすためにはいくつかの重要な要素があります。
- 心の傷のケア
不倫による心の傷は、時間だけでは癒えません。きちんとケアしていく必要があります。
- パートナーによるサポート:傷つけた側は相手の感情を理解しようと努めて、不安を軽減する行動を取らなければなりません。
- 自分でケア(セルフケア):リラクセーション法など自分でのケアも必要です。カウンセリングではセルフケア方法の提案も行います。
- お互いの理解と協力
お互いの感情や考えを共有し、協力して再構築に向けた取り組みを進めることが必要です。
- コミュニケーションの向上:感情的な対立を避け、冷静に話し合うことが必要です。
- 感情のコントロール:怒りや悲しみを適切に表現し、相手を攻撃しない方法で表現します。
- 専門家のサポート
2人だけで解決するのはむずかしい場合が多いです。特にコミュニケーションが困難になります。専門家のサポートを検討して下さい。
- カウンセリングの活用:専門家が間に入ることで、感情の衝突を穏やかにし、建設的な話し合いが進むことがあります。
- 心理教育:不倫が引き起こす心理的影響について学ぶことで、状況を客観的に捉えられるようになります。
再構築は決して一夜にして成し遂げられるものではありません。数ヶ月、あるいは数年という時間がかかる場合もあります。しかし、多くの夫婦が再構築を果たしているのも事実です。カウンセリングは伴走者としてその過程を支えることができます。
不倫相手に会う?会わない?
相手に直接会い、自分の気持ちを伝えたい、真実を確かめたいという思いは、自然な感情です。しかし、感情的な行動がさらなる傷を生む場合もあります。ここでは、不倫相手に会うことのメリットとデメリットを整理し、冷静に判断するためのヒントをお伝えします。
不倫相手に会うことのメリット
- 心の整理が進む
- 不倫がどのように始まり、どのような関係だったのかを確認することで、自分の中に整理がつく場合があります。真実を知ることで、不確かな情報や想像による苦しみが軽減されることもあります。
- 決断に向かえる
- 相手と話すことで、自分の感情が明確になり、再構築や離婚を含めた今後の選択肢について考えやすくなる場合があります。
- 相手の態度を確認できる
- 相手がどのような意図で不倫に関与していたのか、その態度や言葉から判断材料を得られることがあります。
不倫相手に会うことのデメリット
- 感情が制御できなくなるリスク
- 相手を目の前にしたときに、怒りや悲しみが爆発し、冷静に話すことが難しくなる場合があります。その結果、相手との対話が逆にストレスとなることもあります。
- 相手の態度が新たなトラウマを生む可能性
- 不倫相手が無関心、攻撃的、または軽薄な態度を取った場合、心の傷が深まることがあります。期待していた謝罪や理解を得られない可能性も考慮する必要があります。
- 夫婦間の修復プロセスに悪影響を及ぼす
- 相手に会うことで、夫婦間の信頼や対話が阻害される場合があります。相手に会ったことをきっかけに、パートナーとの関係がさらに悪化するリスクもあります。
冷静に判断するために
不倫相手に会うかどうかを決める前に、以下の質問を自分に投げかけてみてください:
これらの問いを通じて、自分の本当の意図や心の準備の状態を確認しましょう。
会うと決めたら
直接会うのが望ましいです。LINEなどオンラインでのやり取りは、更なる傷を負う機会になることがあります。特に相手の顔が見えない状態では、相手から酷い言葉を投げられて、さらに傷つくことがあります。会う際は、安全のため、第三者に同行してもらう、ファミレスのような衆人環境の元で会うのがのぞましいです。
不倫相手に会うのは慎重に判断すべきです。今後の夫婦関係や心の状態に大きく影響する可能性があります。感情的な衝動に任せるのではなく、自分自身を守ることを第一に考えて下さい。
再構築のプロセス:3つのステップ
不倫がもたらした深い傷を抱えたまま、関係を再構築していくのは決して簡単なことではありません。しかし、多くの夫婦が困難を乗り越え、再び信頼関係を築いているのも事実です。
再構築は一夜にして成し遂げられるものではなく、時間と努力、そして具体的なプロセスが必要です。ここでは、そのプロセスを3つのステップに分けて紹介します。
ステップ1:心の傷のケア
不倫によって負った心の傷を癒すためには、傷つけた側の積極的な取り組みが必要です。このプロセスは「心の傷を理解する」「不安を和らげる行動を取る」「感情を受け止める」の3つを柱としています。
- 心の傷を理解する
- 傷つけられた側の痛みは予想以上に深刻です。先に述べた通り、現在だけではなく、過去も未来も傷ついています。こ傷の大きさや深さを理解することが、再構築の出発点となります。
- また、理解した内容を言葉にして相手に伝えることも重要です。自分が理解していても、理解していることが相手に伝わらなくては意味がありません。
- 心の傷は骨折と似ています。傷つけた側が前へ向かう準備ができてきても、傷つけられた側の骨がひっつくまで待たなくてはいけません。骨がひっつくには適切な治療と時間が必要であり、コミュニケーションがその役割を果たします。
- 不安を和らげる行動を取る
- 傷つけられた側は、再び裏切られるのではないかという不安を抱えています。この不安を軽減するには、傷つけた側が行動を変える努力が必要です。
- ただし、これらの行動は独りよがりではなく、相手と話し合いながら進めるべきです。できない約束をしないことや、現実的な範囲で行動制限を受け入れる柔軟性が求められます。
- 感情を受け止める
- 傷つけられた側が怒りや悲しみをぶつけるのは、自然な回復のプロセスの一部です。これを逆ギレや防御的な態度で返すと、新たな傷を生む原因になります。しっかりと耳を傾け、感情を受け止める姿勢が必要です。
- ただし、感情を受け止め続けることが難しい場合もあるため、その際はカウンセリングを活用することをおすすめします。カウンセラーは、感情を整理するサポートや、まだ言葉にされていない気持ちを引き出す手助けを行います。
ステップ2:協力関係の構築
不倫が発覚した直後は、夫婦間に「被害者」「加害者」という立場が生まれます。最初はやむを得ませんが、いつまでもその関係でいるわけにはいきません。再構築に向けた協力関係を築くことが必要です。
- コミュニケーションの改善
- 感情的な衝突を避け、冷静に話し合える環境を整えることが大切です。特に、傷つけた側は相手の感情に寄り添う努力が求められます。
- 信頼関係の再構築
- 傷つけられた側の不安や疑念を理解し、信頼を取り戻すための行動を積み重ねる必要があります。
- 共通の目標を設定する
- 「再び笑顔で過ごせる関係を築く」といった具体的な目標を共有し、それに向けて協力することが重要です。
ステップ1から大きな行動の変化はありませんが、質が変わってきます。不倫にのみ焦点を当てるのではなく、夫婦関係全体に焦点が移っていきます。
ステップ3:不倫の背景を理解する
再構築を目指す際には、不倫の背景を振り返り、再発を防ぐ取り組みを進めることも必要です。
- 夫婦関係の振り返り
- 不倫の背景には、夫婦間の問題が影響していることがあります。この場合、お互いの考えや感情を丁寧にすり合わせる作業が必要です。
- 個人の課題の理解
- 傷つけた側の個人的な背景(例えば、過去のトラウマや感情処理の苦手さ)が関与している場合もあります。これを理解し、向き合うことが再発防止につながります。個人のカウンセリングを行うこともあります。
- 再発防止の具体策
- 具体的な防止策を二人で考え、実行に移すことで、安心感を共有できます。「お互い忙しくても、週1回は夫婦で話し合う時間を確保する」などです。
再構築の過程は直線的ではありません。ここまでのプロセスを行ったり来たりするのはめずらしくありません。同じことを繰り返していると思うこともあります。しかし、そのたびに夫婦間の絆を深める機会にもなり得ます。
カウンセラーは、この過程を一緒に進む伴走者として、2人が完走できるようにサポートします。
夫婦カウンセリングのススメ
不倫による心の傷や信頼の喪失に直面したとき、夫婦やカップルだけで再構築を進めるのは困難なことが多いです。感情的な衝突や不信感の中で、前向きな対話を重ねることは簡単ではありません。こうした状況において、夫婦カウンセリングは有効な手段となります。
カウンセリングが果たす役割
夫婦・カップルカウンセリングでは、専門知識を持つカウンセラーが第三者の視点からサポートします。以下のような役割を果たします。
- 感情的な衝突を和らげる
- 傷つけられた側の怒りや悲しみ、傷つけた側の罪悪感や防衛的な態度を冷静に整理し、双方が話しやすい安全な環境を整えます。
- 建設的な対話を促進する
- 客観的な第三者の立場から、お互いの感情や考えを理解し、傷の癒しや関係の再構築に向けた具体的なステップを話し合えるようサポートします。
- 心理的な教育
- 不倫がもたらす心理的な影響について説明し、再構築の過程で生じる課題に備える知識を提供します。
カウンセリングは「話を聞いて終わり」ではありません。カウンセラーは現状をしっかりと把握し、具体的なアドバイスや問題解決のためのサポートを行います。
よくある質問
夫婦カウンセリングに関して、以下のような不安や疑問を抱える方もいらっしゃいます。
- 夫婦の問題を第三者に話すのは抵抗がある
- カウンセリングは裁判ではありません。良し悪しの裁定を下す場ではありません。どちらかを非難するのではなく、2人にとっての解決や再構築とは何かを明確にして、そこへたどり着くための伴走者として関わります。
- 本当に効果があるのか分からない
- この疑念については一度経験して下さいとしか言えないのですが、多くの夫婦がカウンセリングを通じて信頼関係を再構築しています。専門的な第三者が参加しての取り組みの効果を実感して下さい。
一歩踏み出す勇気を
大切なのは「一人で抱え込まないこと」です。堂々巡りに陥り、考えるだけで何も進まない状態になります。カウンセリングは、専門知識と技術を持つプロが伴走する場です。問題を乗り越え、新たな関係を築くための第一歩を一緒に踏み出してみませんか。