不倫・浮気

不倫・浮気は、夫婦・カップルカウンセリングで多い相談の一つです。

不倫・浮気が発覚すると、された側がした側を問い詰めます。連日、長時間にわたることもめずらしくありません。やめたくてもやめられません。その理由は後で述べます。

した側は罪の意識から応じますが、それでも続くと疲弊します。「本当に申し訳ないと思っている」「しかし、終わったこと」「今後裏切るようなことはしない」「前向きな話をしたい」と訴えます。

残念ながら、そのようにはいきません。

『された側』と『した側』の決定的な違い

『した側』にとっては、発覚して白状したことにより、不倫は終結しました。抱えていたかもしれない後ろめたい気持ちはなくなりました。ある意味スッキリしているかもしれません。人によっては、パートナー以外から好意を持たれる経験によって、自尊感情が高まったかもしれません。

『された側』にとっては、価値観が一変する経験です。自分の存在価値がないと感じさせられる体験です。これまで、世間の人たちや世界は、概ね安心・安全だと思って生きてきました。それらがとても危険なものに変わる体験です。安心・安全な毎日が危険な毎日に変わる体験です。

修復を決めた瞬間、『した側』はスタートラインに立っています。『された側』がいるのは、スタートラインの遙か後ろです。

『された側』がスタートラインにたどり着くには、心の傷のケアが必要です。そのためには、心の傷がどのようなものかを理解する必要があります。

『された側』の心の傷

トラウマとは

された側の苦しみを理解するには、トラウマ(心的外傷)の理解が役立ちます。本当のトラウマとは、「○○がトラウマで〜」と日常会話で話すような軽いものではありません。生死に関わるような危険など、強烈な恐怖体験による心の傷です。

トラウマによる心の病は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)として知られています。その定義を紹介します。

生死にかかわるような実際の危険にあったり、死傷の現場を目撃したりするなどの体験によって強い恐怖を感じ、それが記憶に残ってこころの傷(トラウマ)となり、何度も思い出されて当時と同じような恐怖を感じ続けるという病気です。

PTSD|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省より引用

米国精神医学会診断統計マニュアル第5版(DSM-5)の基準によれば、PTSD(心的外傷後ストレス障害Post-Traumatic Stress Disorder)とは、実際にまたは危うく死ぬ、深刻な怪我を負う、性的暴力など、精神的衝撃を受けるトラウマ(心的外傷)体験に晒されたことで生じる、特徴的なストレス症状群のことをさします。

PTSD とは | 日本トラウマティック・ストレス学会より引用

繰り返しになりますが、自分の存在(価値)が脅かされる体験です。概ね安心・安全だと思っていた世間の人たちや世界が、とても危険なものに変わる体験です。安心・安全な毎日が、危険な毎日に変わる体験です。

不倫・浮気そのものは擁護できませんが、不倫・浮気に至った『した側』の事情を理解できるケースもあります。『不倫・浮気はダメだ』と言うだけでは再構築できません。再構築するには、『した側』だけではなく、『された側』にも変化が求められるケースがしばしばあります。

しかし、そうであっても、最初に『された側』の心の傷がケアされなければなりません。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を知ると、『された側』の言動を理解しやすくなります。主な症状は以下の4つです。

侵入症状

つらい記憶や感情が突然よみがえる。悪夢見る。フラッシュバックが起こる。

回避症状

つらい記憶を思い出させるような人物、事物、状況や会話を回避する。

否定的な考えや気分

感情を麻痺させることによって苦痛を避けようとする。やさしさや愛情などプラスの感情も感じられなくなる。

過覚醒

常に神経が張り詰めている。怒りっぽくなる。イライラしやすい。集中できない。いつも警戒している。

穏やかに会話していても、急に様子や態度が変わったりすることがあります。ふいに、もしくは何かのきっかけで思い出したのかもしれません。侵入症状によるものかもしれません。

不倫・浮気を思い出させるような場所や物事を避けるようになります。回避症状と考えられます。あえてそのような場所に行って、プラスの思い出で上書きするんだ、とおっしゃる方もいます。

私たちは苦しみなど苦痛な感情を避けるために、感情を麻痺させることがあります。自分を守ろうとする心の営みですが、家族や友人への愛情などプラスの感情も麻痺させてしまいます。

これまで安全と思っていた世界が危険なものに変わりました。常に危機に備えて緊張します。ちょっとしたことに過敏に反応します。同じことを何度も繰り返し聞くのは安全確認でしょう。何度確認しても安心できません。

心の傷を理解する

『された側』にとって、安全な日常が危険な日常に変わりました。以前の日常が頑丈な橋なら、現在の日常は今にも落ちそうな吊り橋です。一歩一歩安全確認が必要です。何度も同じことを聞くのは安全確認の一つです。

また、これまでの人生や自分に対する認識が一変します。

  • 女性(または男性)としての価値がないと感じる。
  • 人として存在する価値を感じられなくなる。
  • 一緒に過ごしてきた人生が無意味なものに感じる。
  • 将来を考えると絶望しかない。
  • その他。

『した側』に求められるのは、単に「申し訳なかった」と謝罪することではありません。浮気されたことがパートナーにとってどのような意味があるのか、どのような気持ちにさせられているのか。それらを理解することからです。

二度と繰り返さないために

『された側』の心のケアが進んで、次のステップへ進める程度に落ち着きを取り戻したら、同じことを繰り返さないための取り組みを始めます。

不倫・浮気の行為そのものの責任は、全面的に『した側』にあります。一方、『した側』を不倫・浮気へ向かわせた背景には、『した側』だけではなく『された側』にも原因があるかもしれません。二度と繰り返さないためには、その背景を明らかにして、改善を図る必要があります。

軽い気持ち

風俗通いをしていた人に多いのが「軽い気持ち」からです。パートナーに隠している人がほとんどなのは、パートナーが良く思わないのをわかっているのでしょう。ただ、仮に発覚しても、パートナーにとって何を意味するかを「軽い気持ち」で考えている場合がほとんどです。

この場合は、『した側』が認識を改めることが必要です。『された側』にとってトラウマ体験になるのを理解すること。『した側』の積極的に理解する姿勢と、傷ついた心をケアする姿勢が『された側』に伝われば、(徐々に)改善に向かうことが多いです。

不倫・浮気の背景

『した側』だけではなく『された側』も振り返る必要があるのは、夫婦・カップル関係の悪化が背景にあるケースです。不倫・浮気そのものは、背景に何があっても正当化できません。しかし、二度と繰り返さないためには、背景に取り組む必要があります。

コミュニケーション

家庭とは一つの国のようなものです。家庭ごとに文化や価値観などがあります。夫婦は、それぞれ別の国で育った二人が国を出て、新しい国を作ることと言えるかもしれません。

文化や価値観の相違を埋めるのはコミュニケーションです。対立が生じても、お互いが納得できる着地点にたどり着けるコミュニケーションができていれば、関係は発展に向かいます。できていなければ、一方もしくは双方がストレスを積み重ねる原因になります。

コミュニケーションの詳細は以下のページをご覧下さい。

ライフステージの移行期

出産や子どもの進学など、ライフステージの移行期に危機が起きやすくなります。子どもが生まれると、妻には母親の役割が、夫には父親の役割が発生します。子どもが成長すると、求められる役割の質が変わります。夫婦に変化が求められるライフステージの移行期は、危機が起こりやすい時期です。

危機を乗り切るには良好なコミュニケーションということになりますが、特に危機が起きやすいタイミングとして認識しておくのが望ましいです。ライフステージの移行期の危機については以下のページをご覧下さい。

その他

セックスレス、DV・モラハラ、家族(子ども・実家)問題などがあります。

修復が困難なケースも

ここまで修復を前提として話を進めてきましたが、別れを選択するほうが良いのでは?と思うケースもあります。

「申し訳ない」「反省している」などの言葉を発しますが、棒読みで気持ちが入っていません。パートナーに自宅での様子を聞いてみると同じと言います。愛も情もないけれど離婚は大変なので、現状のままで良いという人がいます。

不倫・浮気に罪悪感を感じない人がいます。愛人を持つことをステータスと考える人がいます。そのような人の中にも、トラウマの苦しみを理解して、悔い改める人がいます。その人となら改善の可能性があるでしょう。苦しみを理解する姿勢さえ見せない人がいます。その人とはむずかしいでしょう。

触媒となってコミュニケーションや心の整理、癒しをサポートします

不倫・浮気が発覚すると(特に直後は)、これまでできた話し合いも困難になります。カウンセラーがお二人のコミュニケーションに参加して触媒の役割を果たします。感情に翻弄されて表現されにくい気持ち、言葉の行間に込められた気持ちなどを言語化するサポートを行います。

修復に向かうことで一致しているけれど、「これでいいのだろうか?」と不安になる場面は多々あるはずです。確信を持って進めるようにサポートを行います。

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