夫婦関係を深めるコミュニケーションの実践

執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士

夫婦関係を育む対話

夫婦関係をより深いものにしていくには、日々の具体的な実践が欠かせません。このページでは、カウンセリングの実践から得られた、関係を深めるための取り組みについて説明します。

実際のカウンセリングでは、まず夫婦の日常生活での具体的なコミュニケーションの様子をお聴きした上で、それぞれのご夫婦の生活リズムや価値観に合わせた実践方法をご提案させていただいています。ここでご紹介する方法は、そうしたカウンセリングの経験から得られた知見をもとにしています。

このページのポイント
  • 効果的な話し合いの時間と環境の作り方
  • 言葉の背景にある気持ちの理解方法
  • 日常生活での実践的なコミュニケーション方法
  • より深い関係を築くためのヒント

1. 話し合いの仕組み作り

コミュニケーションは、スキルだけでは十分ではない場合が多々あります。

忙しい時間帯、食事の支度をしながら、または他の作業をしているときなどの状況では、気持ちが急いでいたり、イライラしやすかったりするため、安心して話すことがむずかしくなります。無理して話し合いを試みると、かえって関係を悪化させることもあります。

特に今の時代は、共働き等々の要因で、じっくり話し合う機会を持つのがむずかしい現状があります。それでも関係を育むにはコミュニケーションが必要です。そのためには、話し合いの仕組み作りが重要になると考えています。

定期的に対話の機会を確保する

「お互い時間に余裕ができたときに話し合おう」では、その機会が訪れることがあるのだろうか?と感じるほど多忙なご夫婦にお目にかかることもあります。スケジュールに「夫婦の時間」を入れることをおすすめします。

夫婦会議の実施

  • 週に1回など定期的な時間を決める
  • カレンダーに予定として書き込む
  • 最優先の予定として扱う
  • 必要に応じてテーマを事前にメモしておく

後で触れますが、ただ時間を確保するだけでは足りないことが多いです。子どもや家事など、気が散る要素をできるだけなくして、二人で話せる環境を確保することが大切です。

話し合いのルールを設定する

  • 相手の話を最後まで聴く
  • 一方的な話にならないよう時間配分を意識
  • 感情的になったら一時休憩
  • 批判や非難を避ける

ダメなコミュニケーションの一つに、相手の話に被せて最後まで話をさせないことがあります。聴き手と話し手を明確にして、聴き手は相手の理解に徹するなど、意味ある対話のためのルールを設定すると有効です。

限られた時間になるでしょうから、自分の話だけで終わらないように公平な時間配分も意識する必要があります。ま

重要なのは、ヒートアップせず冷静に話すことです。自宅よりカフェなど外部の施設で行うと、感情的になりにくいメリットがあります。

話しやすい環境づくり

話し合いに集中できる環境を作ることは、効果的な対話の重要な前提条件です。

家事や育児、仕事の連絡など、様々な事柄が気になってしまう状況では、深い対話を行うことがむずかしくなります。「後で食器を洗わないと」「子どもが起きてこないかな」といった考えが心の中にあると、相手の話に十分な注意を向けることができません。

そのため、話し合いの時間は、他の事柄から一時的に解放され、対話だけに集中できる環境を意識的に作ることが大切です。繰り返しになりますが、自宅以外の場所(カフェなど)で行うのは有効です。

2. 日常生活での実践

関係を深める実践において、重要なのは継続性です。「記念日に豪華な食事」「たまの休日に特別なデート」といった大きなイベントも確かに大切ですが、それ以上に価値があるのは、日々の小さな気遣いや対話の積み重ねです。

「おはよう」の挨拶に込める感謝の気持ち、帰宅時の短い会話、食事中の何気ない対話など、小さな実践を毎日続けることが、より深い絆を育んでいきます。大きな1回の行動より、小さな100回の積み重ねの方が、関係性に与える影響は大きいです。

小さな会話の積み重ね

朝の短い会話

  • 「今日の予定は?」
  • 「気をつけていってらっしゃい」
  • 「今日も頑張ってね」

帰宅時の対話

  • 「お帰りなさい、今日はどうだった?」
  • 「何か楽しいことあった?」
  • 「疲れているようだけど、大丈夫?」

感謝の気持ちを伝える

具体的な感謝の表現

  • 「今日の夕食、美味しかったよ」
  • 「子どものお世話、ありがとう」
  • 「家事を手伝ってくれて助かった」

非言語での感謝表現

  • 笑顔で接する
  • 軽く肩に触れる
  • 目を合わせる

相手への関心を示す

小さな変化への気づき

  • 「新しい服似合ってるね」
  • 「髪型変えた?」
  • 「最近元気そうだね」

相手の興味への関心

  • 好きな話題について質問する
  • 趣味の話を聞く
  • 関連する情報を共有する

3. より深い関係を築くために

夫婦関係を深めていく過程は、まるで庭づくりのようなものです。毎日の小さな手入れの積み重ねが、やがて美しい花を咲かせ、実を結びます。日々の対話や気遣いという水やりに加えて、お互いの成長を支え合い、共に新しい思い出を作っていくことで、関係はより豊かに、より深いものへと育っていきます。

ここでは、お二人の関係をさらに深めていくための具体的な方法をご紹介します。これらのすべてを実践しなければならないということではありません。できることを継続して取り組むことです。がんばらなくてもできるくらいのことが長続きします。良い結果をもたらすことが多いです。

お互いの成長を支える

目標の共有

  • 将来の夢について話し合う
  • 具体的な計画を立てる
  • 進捗を確認し合う

励まし合い

  • 失敗を責めない
  • 小さな成功を褒める
  • 前向きなフィードバック

思い出作り

定期的なデート

  • 月に1回は特別な時間を
  • 新しい場所への外出
  • 共通の趣味を楽しむ

記念日を大切に

  • 結婚記念日
  • 誕生日
  • 特別な思い出の日

カウンセリングでのサポート

この記事で紹介した実践方法は、一般的な指針として参考にしていただけるものです。しかし、実際の夫婦関係では、それぞれの生活リズムや価値観が異なりますので、カウンセリングではまず具体的な日常生活の様子をお聴きした上で、お二人の状況に最適な実践方法をご提案させていただいています。

関係を深めるための実践方法について悩まれている方は、まずは具体的な生活状況を含めてご相談いただければ、専門家の立場から適切なアドバイスをさせていただくことが可能です。

まとめ

  • 定期的な対話時間の確保が重要
  • 日常の小さな実践の積み重ねが大切
  • お互いの成長を支え合う関係づくり

関係を深める実践には、継続的な努力が必要です。一度にすべてを完璧にしようとせず、できることから少しずつ始めていくことが大切です。

カウンセリングのご案内

料金・その他詳細

個人60分:8,000円
90分:12,000円
夫婦90分:12,000円
お支払い方法現金・クレジットカード・電子マネー
備考税込価格、延長料金等ナシ、面接報告書は有料にて
2025年3月1日より価格改定します

カウンセリングの流れ

お申し込みから終結・フォローアップまでの流れについて説明しています。完全予約制で対面とオンラインの両方に対応しています。事前の手続きをオンラインで行うことにより、面接時間はカウンセリングに集中できるようにしています。

心理カウンセリングの「フルフィルメント」とは

屋号の「フルフィルメント(fulfillment)」には、「達成感」「満足感」「充実感」といった意味があります。また、それらには大きく二つの意味があります。

  • 目標達成型の充実感
    • 仕事のプロジェクトを成功させた時の達成感
    • 資格試験に合格した時の喜び
    • 長年準備してきた海外旅行を実現できた時の満足感
  • 日常生活での深い満足感
    • 自分の価値観に沿った仕事や生活ができている実感
    • 家族との温かな時間や、友人との深い関係が続いている安心感
    • 日々の暮らしの中で「これが自分らしい生き方だ」と感じられる充実感

つまり、一時的な達成感に加えて、今やっていることや達成したことに感じる深い満足感、より継続的・内面的な充実感を意味します。

「心理カウンセリングのフルフィルメント」という名称には、ただ問題を解決するだけでなく、一人ひとりが自分らしく生きながら心を満たし、人生に充足を得られるサポートを提供したいという想いを込めています。

このページの執筆者
山崎 孝(公認心理師)

親バカのカウンセラー / 人に原因を求めるのではなく、人と人との相互作用の悪循環に求めます。人に優しいカウンセリングをモットーとしています。

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