セックスレスのカウンセリング

執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士

関係性の変化から改善を図るセックスレスのカウンセリング

セックスにこだわるほど解決が遠のくのがセックスレスの問題です。セックスはコミュニケーションの一つ。コミュニケーションとは関係性を反映するもの。レスは関係性の問題を示すサイン。このように考えると解決に近づけることが多いです。

セックスレスとは

日本性科学会の定義によると、セックスレスとは以下の状態を指します。

特殊な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交渉(セックス)が1ヶ月以上ない状態

しかし、この定義は一つの目安であり、カップルによって望ましい頻度は異なります。大切なのは、お二人の関係性の中で、性的な親密さについての満足度がどうであるかということです。

セックスレスがもたらす影響

セックスレスは、様々な形で私たちの生活に影響を与えます。心理面への影響はもちろん、それが身体の不調としてあらわれたり、日常生活や社会生活にまで広がっていくことがあります。これらの影響は、時間の経過とともに深刻化する可能性がありますが、適切なケアや支援により、改善が期待できます。

心理面への影響

セックスレスによって生じる心理面への影響は主に、

  • 自己肯定感の低下
  • 孤独感、孤立感
  • 落ち込み、または苛立ち

があげられます。

自己肯定感の低下は多くの人が訴えられます。「自分には魅力がないのではないか」「パートナーに愛されていないのでは」といった否定的な考えが心に浮かび、それが次第に全般的な自信の喪失につながっていくことがあります。

他者に相談しにくい話題のため、一人で悩んで孤独感孤立感を感じることも少なくありません。長期化することによって常に気分が落ち込んだり、逆に苛立ちを抱えることもあります。

身体面への影響

セックスレスによるストレスが身体に及ぼす影響は、

  • 頭痛や肩こりなどの身体の不調
  • 不眠や睡眠の質の低下
  • 疲れやすくなる

などがあげられます。

たとえば、頭痛や肩こり、お腹の調子が悪くなるといった身体の不調が現れることがあります。首や肩の筋肉が常に張っているような感じがしたり、胃の具合が悪くなったりすることもよくあります。

睡眠への影響も見逃せません。夜も眠れなくなったり、夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてしまったりすることがあります。こうした睡眠の乱れは、日中の疲れやすさや物事に集中できない状態につながっていきます。

また、長く続くストレスは身体の疲れを感じやすくします。

社会生活への影響

セックスレスは社会生活に影響に影響を及ぼすことがあります。例えば、

  • 仕事
  • 対人関係

です。

仕事面では、集中力や意欲の低下が見られることがあります。仕事に対する集中力が続かない、新しいことに挑戦する意欲が湧かないといった変化があらわれることもあります。

親密な関係における自信の低下は、他の人間関係にも影響を及ぼすことがあります。例えば、友人との交流を避けるようになったり、新しい人間関係を築くことに消極的になったりすることで、社会的なつながりが徐々に減っていくことがあります。

セックスレスの要因

セックスレスの要因と成り得る4つのこと

心理的な要因

日常生活におけるストレスや不安は、セックスレスの要因の一つとなります。仕事での重圧や、人間関係での緊張、経済的な心配事など、様々なストレスが重なることで、性的な関心や意欲が低下することがあります。

セックスレスによる影響の一つに自己肯定感の低下がありますが、逆に自己肯定感の低下がセックスレスをもたらすこともあります。自分の容姿や体型に自信が持てない、自分には魅力がないと感じるなど、自己イメージの問題が性的な自信の低下につながることがあります。

過去の体験も影響を与えることがあります。例えば、性に関する不快な経験や、人間関係でのつらい経験が、無意識のうちに性的な親密さへの不安や抵抗感を生み出すことがあります。

身体的な要因

疲労やストレスによる身体の疲れは、性的な意欲を低下させる要因となります。特に、慢性的な疲れや睡眠不足が続く状態では、性的な活動に向かう余裕が失われやすくなります。

また、様々な健康上の問題も影響を与えることがあります。例えば、生活習慣病やその治療のための薬の中には、性機能に影響を与えるものもあります。このような場合は、医療機関での相談が必要になることもあります。

関係性の要因

コミュニケーションの問題は、セックスレスの要因となることがあります。特に、性など2人の関係にとって重要な話題を避けてしまう、お互いの気持ちや希望を適切に伝えられないといった状況が続くと、徐々に心理的な距離が広がっていくことがあります。

また、日常生活での親密さの不足も影響します。忙しさのために二人で過ごす時間が減少したり、スキンシップが少なくなったりすることで、お互いへの親密感が薄れていくことがあります。

生活環境の変化も重要な要因です。仕事の変化、育児や介護の開始、生活リズムの違いなど、様々な環境の変化がセックスレスのきっかけとなることがあります。

価値観の違い

性に対する考え方や価値観の違いも、セックスレスの原因となることがあります。性的な関係に求めるものや、望ましいと考える頻度は、人によって大きく異なります。このような違いについて、お互いが理解し合い、歩み寄ることが難しい場合、セックスレスの状態が続くことがあります。

また、結婚生活や夫婦の役割に対する考え方の違いも影響を与えることがあります。家事や育児の分担、経済的な責任の持ち方など、生活全般における価値観の違いが、性的な親密さにも影響を及ぼすことがあります。

カウンセリングでできること

セックスレスの問題に対して、カウンセリングでは以下のようなサポートを提供します。

安全な場での対話

カウンセリングでは、まず安全で安心できる場所で、セックスレスについてお話しいただけます。日常生活では話しにくい性の問題について、カウンセラーとの対話を通じて整理していくことができます。

また、パートナーとの関係性についても、客観的な視点から見つめ直すお手伝いをします。時には2人でカウンセリングを受けることで、お互いの気持ちをより深く理解し合えるきっかけとなることもあります。

自己理解を深める

カウンセリングでは、ご自身の気持ちや考え方をより深く理解することを支援します。例えば、性的な親密さに対する不安や抵抗感の背景にある思いを探ったり、自己イメージの問題について考えたりすることができます。

また、ストレスや疲労が性的な意欲に与える影響についても理解を深め、日常生活でのストレス対処の方法を一緒に考えていきます。

コミュニケーションの改善

セックスレスの改善には、パートナーとの良好なコミュニケーションが大切です。カウンセリングでは、お互いの気持ちや希望を適切に伝え合う方法について、具体的な提案をさせていただきます。

例えば、「私は~と感じる」という形で自分の気持ちを伝える練習や、相手の話に耳を傾ける際の注意点など、実践的なコミュニケーションスキルについてお伝えします。

参考ページ夫婦関係を深めるコミュニケーション

段階的なアプローチ

性的な親密さの回復は、焦らず段階的に進めていくことが大切です。カウンセリングでは、2人の状況に合わせて、具体的な改善のステップを提案させていただきます。

最後に

セックスレスは、パートナーとの関係性の中で生じる悩みの一つです。その影響は心理面にとどまらず、身体面や社会生活にまで及ぶことがあり、また様々な要因が複雑に関係し合っています。

このように多面的な性質を持つセックスレスの問題に対して、カウンセリングでは安全な環境の中で、お一人お一人の状況に合わせた支援を提供します。時には2人でカウンセリングを受けることで、パートナーとの相互理解を深めるきっかけとなることもあります。

一人で抱え込まず、早めにカウンセラーなどの専門家に相談することで、より良い関係性を築いていくためのヒントが見つかるかもしれません。

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