【ストレスと上手くつき合う】適度なストレスがパフォーマンスを向上させる

執筆者:公認心理師・山崎孝

ストレスは害として扱われがちですが、決して害ではありません。上の図は、ストレスレベルが低すぎても高すぎてもパーフォーマンスは低下して、適度なストレスレベルはパフォーマンスを高めることを示しています。

ヤーキーズ・ドットソンの法則

ストレスレベルとパフォーマンスの関係を逆U字型で示すことで有名なこの法則は、ヤーキーズとドットソンの2人の心理学者が提唱しました。

ロバート・ヤーキーズ(Robert M. Yerkes)は、動物行動学と比較心理学における先駆者として知られ、心理学の実験的研究に大きく貢献しました。また、彼は知能テストの開発にも関与し、軍隊での適性評価のためのテスト作成にも影響を与えました。

ジョン・ドッドソン(John Dillingham Dodson)は、主に動物の行動研究に取り組み、ヤーキーズと共に緊張のレベルがタスクの実行に与える影響を実験的に検証しました。

この法則は、産業、スポーツ、教育などの分野で活用されています。

簡単なタスクと難しいタスク

逆U字型を示すのは、難しいタスクに取り組む場合です。前述の通り、ストレスレベルが低すぎても高すぎてもパーフォーマンスは低下して、適度なストレスレベルはパフォーマンスを高めます。

簡単なタスクでは、比較的高いレベルの緊張がパフォーマンスを向上させます。簡単なタスクは認知の負荷が低いため、高いストレスが注意力や集中力を高めると考えられます。

上図は「難しいタスク」を「複雑なタスク」と表示しています。