【ストレスと上手くつき合う】タイプA行動パターン(競争心、挑戦的、切迫感)

執筆者:公認心理師・山崎孝

心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患(動脈硬化の影響で心臓の筋肉の血液の巡りが悪くなったり、血管が詰まったりして発生する病気の総称)の患者に共通する性格傾向をタイプA行動パターンといいます。競争的、挑戦的、切迫感などの特徴があります。

タイプA行動パターンとは

虚血性心疾患の患者の共通する性格傾向を明らかにしたのは、医師のフリードマンとローゼンマンらです。彼らはその性格傾向をタイプA行動パターンと名づけました。具体的には以下の傾向を持ちます。

  • 何ごとに対しても挑戦的
  • 成功や達成に活動的
  • 競争的
  • 野心的
  • 時間的切迫感
  • 敵意を抱きやすい

これらの性格傾向を持つ人は怒りを感じやすく、血圧や心拍数が増加することが多く、心臓などに負担がかかりやすいためと考えられています。

以下は、タイプA行動パターンを持つ人物、健太郎さんのある1日です。もちろん、創作です。

朝 6:00
健太郎さんの一日は早く始まります。アラームが鳴る前に目が覚め、すぐに起床します。彼は一日の計画を立てるため、朝食を取りながらスマートフォンでメールをチェックし、その日のスケジュールを確認します。彼にとって、朝の時間は一日の目標を見直し、計画を立てる大切な時間です。

朝 7:30
通勤の準備を迅速に終えた後、健太郎さんは家を出発します。通勤中も、彼は時間を有効に使おうと、オンラインでの会議資料を確認したり、業界の最新ニュースを読んだりします。彼にとって、移動時間も仕事の一部です。

午前 9:00
オフィスに到着すると、健太郎さんはすぐに一日の仕事に取り掛かります。彼は、効率的にタスクをこなすために、厳しいスケジュールを自分自身に課しています。短い休憩も計画的に取り、常に生産性を最大化しようと努力しています。

昼 12:00
ランチタイムですが、健太郎さんはしばしばランチミーティングを利用して、仕事の話をします。または、デスクで軽食を取りながら、メールに返信したり、次のプロジェクトの準備をしたりします。彼にとって、ランチタイムも仕事を進める大切な時間です。

午後 3:00
午後も健太郎さんの忙しさは続きます。会議、プレゼンテーション、クライアントとの電話会議など、彼のカレンダーは常に予定でいっぱいです。彼は常に次のステップを考え、効率よく動くことを心掛けています。

夕方 7:00
仕事が一段落ついた後も、健太郎さんは仕事を持ち帰ることが多いです。夕食後も、翌日の会議の準備や報告書の仕上げに時間を費やします。彼にとって、仕事は終わりがなく、常に次の成果を目指しています。

夜 10:00
家族と過ごす時間や趣味の時間も大切にはするものの、健太郎さんはしばしば、寝る前にもう一度メールをチェックします。寝る前の短いリラックスタイムを持つことで、翌日への準備を整えます。

夜 11:00
比較的早く床につきますが、健太郎さんの心は次の日の仕事や達成すべき目標に向かっています。彼は高い目標と忙しいスケジュールの中で、常に最大限の成果を出そうと努力しています。

健太郎さんの一日は、時間管理と効率性に焦点を当てたものであり、常に何かを成し遂げようという強い動機に駆り立てられています。しかし、このような生活様式が長期にわたると、ストレスや心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

タイプA行動パターンと反対の傾向を持つのはタイプB行動パターンです。マイペース、リラックス、ゆったり、非攻撃的な傾向を持ちます。ある研究の結果によると、タイプAはタイプBの人より高率で虚血性心疾患が発症し、その相対的危険度は2倍であったとのことです。

敵意が危険

その後の研究によって、タイプA行動パターンの中でも「敵意」が危険であると考えられています。敵意の程度が高い人は、そうでない人と比較すると、ストレスホルモンの分泌量が多くなるなどの生理的変化が大きく、心臓や血管に負担や損傷を与えやすくなります。

また、敵意の程度が高い人は、対人関係で葛藤を体験しやすく、社会的支援を得られにくくなることからも、健康に悪い影響をもたらしやすいと指摘されています。

タイプA行動パターンの改善は可能か

結論から述べると、タイプA行動パターンの性格傾向は、一定の変容が可能です。

性格心理学の中核をなすビッグ・ファイブと呼ばれる理論では、人の性格を5つの主要な特性から捉えます。各特性において、遺伝的な要因が40-60%程度を占めていると考えられています。残りの40-60%は環境要因によって形成されていると推定されます。

環境要因は後天的なものです。この部分は、心理療法などで変容させることが可能です。