HSPブームについて

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)

HSPブームには賛否両論ありますが、当カウンセリングルームでは肯定的に捉えています。HSPの概念を知って、それが困りごとや生きづらさの改善や緩和に取り組むきっかけになるのであれば、それは本人にとって、また大切な人たちにとって、とても有益だと考えます。

当カウンセリングルームでは、個人思考と行動のパターンの変化により問題の改善を図る認知行動療法と、対人関係相互作用に焦点を当てるブリーフセラピーによって、HSPのカウンセリングを行っています。詳しくは以下のページをご覧下さい。

HSPに肯定的または否定的な意味はない

HSPの研究者によると、HSPは単に「環境感受性が非常に高い人たち」を指すラベルであり、「生きづらさ」を示すものではないとのことです。

HSPとは何か?

 では、学術的にはHSPとは一体何を表す言葉なのでしょうか?すでにおわかりでしょうが、「環境感受性が非常に高い人たち」のことを表すラベルあるいはカテゴリです。したがって、本来、HSPブームでよくみられるような「生きづらさ」を表すためのラベルではありません。

HSPブームの今を問う(飯村周平:東京大学・日本学術振興会PD)|「こころ」のための専門メディア 金子書房

HSPブームが強調するのはHSPによる「生きづらさ」であり、HSPの研究者にとっては、諸手を挙げて歓迎できる状況ではないようです。しかし、冒頭の繰り返しになりますが、支援を必要とする人たちが支援につながるきっかけになるのであれば、それは歓迎すべきことでもあります。

HSPの概念が広まったことによるメリット・デメリット

基本的にブームを歓迎していますが、物事に完璧はありません。負の部分の認識も必要と考えます。

メリット

HSPという概念が広まることで、「自分だけじゃないんだ」と感じる人が増え、孤立感が和らぐことが期待できます。

特に悩んでいる時は孤立しがちです。理解されない経験は孤立感を増幅させるため、HSPというラベルを知ることで「HSPがそうさせているのだから、自分を責める必要はない」と自己受容の手助けになることが期待されます。

HSPという概念が広がることで、これまでカウンセリングにつながらなかった人が、適切なサポートを受けるきっかけになることが期待できます。

デメリット

一方で、HSPという概念が広まることで、「私はHSPだから…」という自己暗示を持つようになり、HSPの特徴とされる行動を強化するか、HSPだからと思い込む困りごとが増えるリスクが考えられます。

また、他人とのコミュニケーションにおいて、意図や気持ちが伝わらないときに、「どうせ(HSPでない)あなたにはわからないよね」と考えるようになると、それはコミュニケーションの障壁となりかねません。

HSPのカウンセリング

当カウンセリングルームでは、個人思考と行動のパターンの変化により問題の改善を図る認知行動療法と、対人関係相互作用に焦点を当てるブリーフセラピーによって、HSPのカウンセリングを行っています。詳しくは以下のページをご覧下さい。

当カウンセリングルームでは、クライアントがHSPであるかどうかより、HSPの特性による困りごとに焦点を当てます。その困りごとの解決を積み重ねることにより、HSPによる生きづらさの改善と緩和をサポートします。