【気持ちを言葉にするのがむずかしい】アレキシサイミア(失感情症)

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)

自分の気持ちをうまく言葉にできないと、相手に気持ちをうまく伝えられない、理解してもらえないにとどまらず、メンタルヘルスに支障を来すこともあります。何がそうさせるのか、どのようにすれば改善できるのかを検討します。

アレキシサイミア

感情の気づきと言語化が困難な特性をアレキシサイミアといいます。日本語で失感情症と表記されるのが一般的です。ただし、アレキシサイミアは感情が欠如しているわけではなく、感情への気づきや言語化が困難な状態を指します。失感情症という訳語は誤解を招きやすいという指摘もあります。

この概念を提唱したのはシフネオスという精神科医です。彼は心身症(心理的な要因によって身体症状が引き起こされる病気の総称)の患者に共通する特徴に気づきました。以降、アレキシサイミアの概念は多くの研究者によって以下にまとめられました。

アレキシサイミアの特徴
  • 自分の感情を同定して適切に言語化することが苦手
  • 感情と身体感覚の区別がつきにくい
  • 想像力が乏しく、外面的な事実の羅列に終始しがち
  • 自己の内面より外的な事実に関心が向かう思考様式

原因については、はっきりわかっていません。生得的要因とストレスよると考えられています。

アレキシサイミアによる困りごと

感情と身体感覚の区別がつきにくいため、身体的な不調を訴えることが多いのも特徴です。感情面の問題が、身体症状として表現されやすい傾向にあります。

感情を適切に認識し、言語化することが苦手なため、ストレスに気づきにくく、うつ病や不安症などの精神的問題に発展してしまうことがあります。

感情を言葉で伝えることが苦手なため、他者に理解されにくい、誤解を生みやすいといったコミュニケーションの問題が生じることがあります。その結果として、人間関係が深まりにくいことがあります。

アレキシサイミアの対処法

感情の気づきと表現

感情日記をつける
日々の出来事と、そのときの感情を言葉で記録します。初めは「良い」「悪い」など簡単な言葉でも構いません。徐々に感情の語彙を増やしていきます。「私は〇〇したときに、△△な気持ちになりました」といった形を目指します。以下のような書籍の活用も有効です。

感情の身体的感覚に注目する
感情は身体的な変化を伴います。心拍の変化、体の緊張、温度感覚など、身体の感覚に意識を向けることで、感情への気づきが高まります。

瞑想
瞑想は自分の内面への気づきを深めるのに役立ちます。

芸術
絵画、音楽、ダンスなどの芸術活動は感情に触れる機会を提供してくれます。

ストレスケア

アレキシサイミアの人は、ストレスに気づきにくいため、ストレスが蓄積しやすくなります。セルフケアを心がけましょう。

カウンセリングの活用

カウンセリングでは、感情の気づきと表現、ストレスケアのサポートを行います。上記で紹介したことをいざやろうとすると、要領がわからず止まってしまうことがしばしばです。サポートを受けるとスムーズに実践に入れると思います。