診断とアセスメント

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)

ご予約の際に「診断してほしい」と言われることがあります。お話しを伺うと、心の病の診断をしてほしいのではなく、「私はどのような状態で、病院に行くべきか否か判断してほしい」ということが多いです。「診断」より「アセスメント」のほうが近いかもしれません。

診断

診断の原語は「diagnosis」であり、2者間の識別や区別を意味します。病気であるのか否か、あるいは、うつ病なのか、それとも不安症であるのかを認識することが診断となります。尚、(心の)病を診断できるのは医師のみです。

アセスメント

カウンセラーが行うのはアセスメントです。原語の「assessment」には、人や人物の判断・評価と、資産評価などの査定・見積りという意味があります。心理アセスメントとは、クライエント個人のパーソナリティを理解して、どのように援助していくかを判断することです。

アセスメントでは、クライエントを多角的な視点で捉えることが求められます。そのためのモデルとして、「生物・心理・社会モデル」があります。クライエントを、生物(医学)・心理(思考・感情・行動)・社会(環境・文化)の3つの面から理解するモデルです。

また、アセスメントでは、問題など悪い面だけに焦点を当てるのではなく、長所や成功体験など良い面も積極的に見出そうとする姿勢で行います。それらはクライエントが解決に向かうための資源となります。

ケース・フォーミュレーション

アセスメントで得たデータを基に、問題を明確にして、発生や維持の要因の仮説を立て、援助方針を決めて、期待できる効果を見積もることを、ケース・フォーミュレーションといいます。認知行動療法の研究と実践から発展してきました。

参考文献

  • 高瀬由嗣・関山徹・武藤翔太 編著(2020).心理アセスメントの理論と実践―テスト・観察・面接の基礎から治療的活用まで―.岩崎学術出版社
  • 小川俊樹・倉光修(2017).臨床心理学特論(’17).放送大学教育振興会
  • 下山晴彦 編(2009).よくわかる臨床心理学[改訂新版].ミネルバ書房