他者からの期待が学業成績や仕事の成果を向上させる心理的な効果を「ピグマリオン効果」と言います。アメリカの心理学者ローゼンタールの発表によるものです。
ある小学校で「知能テスト」を行いました。実は、このテストには何の意味もありませんでした。しかし、担任には「今後、成績が伸びる子供を割り出すため」と説明されていました。
意味のないテスト成績の名簿から数名の生徒を選んで、担任に「この子は今後、驚異的に成績が伸びる」と教えました。
その結果、選ばれた子どもは他の子どもより、群を抜いて成績が向上しました。
選ばれた子どもたちへの担任の期待が、意識的にも、無意識的にも、声や表情、しぐさなどの態度によって伝わり、影響を及ぼしたものとしました。
ピグマリオンとは、ギリシア神話に出てくる王のことです。
女性の彫刻に恋い焦がれたピグマリオン王が、食事を与えたり話しかけたりして愛情を注ぎ込みました。その姿を見た神が、その彫刻に命を与えた。という神話が由来となっています。
私たちには、好意には好意でお返ししたいという習性があります。「好意の返報性」と言います。子供たちの成績が向上したのは、期待してくれる担任に対して、「好意の返報性」が働いたと考えることもできます。