他人のミスには寛大なのに自分のミスには厳しい(過大評価と過小評価)

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)

自分をつらくさせる考え方のクセ ー 過大評価と過小評価

双眼鏡のトリック

自分に自信がない人に見られる考え方のクセの一つが「過大評価と過小評価」です。認知行動療法で言う認知の偏りの一つです。

自分の欠点や失敗を過大に考え、長所や成功を過小に評価します。逆に他人の長所や成功を過大に評価し、他人の欠点や失敗を見逃します。双眼鏡のトリックと言われることもあります。

この考え方のクセを持つ人は、他人のミスには寛大なのに、自分のミスは厳しく評価します。自分を不公平に扱っています。このようなことを続けているうちは、自分に自信が持てません。

自分に厳しくなければ成長できないのでは?と反論されるかもしれません。その通りだと思います。しかし、自分に「過度に」厳しすぎると成長できません。なぜなら、厳しすぎるハードルを課すと、やろうという意欲より、あきらめが先に来てモチベーションが下がるからです。

自信を育てる方法の一つは、小さな成功体験を重ねることです。厳しすぎるハードルを自分に課すと、成功を体験することが困難になります。もっとまずいのは、やる前にあきらめてしまうことです。失敗は糧になりますが、あきらめは自尊心を損ないます。自信を低下させます。

「過大評価と過小評価」に対処するには、もし友人なら自分に何と言うだろうと想像してみることです。おそらく、そんなに厳しいことは言わないでしょう。目の前にもう一人の自分がいると想像してみましょう。友人が言うであろう言葉を、目の前の自分にかけているところを想像してみましょう。

「過大評価と過小評価」のクセを持つ人には、自分に優しいくらいが丁度いいくらいかもしれません。