どのようなカウンセリングですか

執筆者:公認心理師・山崎孝

当カウンセリングルームが拠って立つ理論を中心に紹介します。

理論に基づいてカウンセリングを行うからこそ、客観的な評価や改善が可能になります。理論は迷ったときに進むべき方向を示してくれる地図でもあります。

家族療法

家族療法の特徴の一つがシステム論です。システムとは「互いに影響を与え合う複数の要素からなる集合体」です。家族、夫婦、職場の部や課、学校のクラスなどがシステムです。一見個人の問題に見えることも、システム内の相互作用によって生じていると考えるのがシステム論です。

私たちは通常、問題が起こると個人に原因を探します。家族療法では「問題のある人はいない。問題を作るシステムがある」と考えます。システム内の相互作用を変化させることで問題の解決を目指します。悪者を作らない姿勢をとても気に入っています。

システム論は元々、家族に限らない人間集団全般が研究対象です。カウンセリングでは家族へのアプローチが多いことから家族療法と呼ばれるようになりましたが、適用範囲は家族にとどまりません。

家族療法

ブリーフセラピー(短期療法)

もはや問題について考えなくても良い。パラダイムシフトをもたらしたとも言えるのがブリーフセラピーです。特徴の一つは解決志向です。問題や原因を把握するより、解決について知る方が有用であるという哲学を持ちます。

家族療法のコミュニケーション派を起源とするため、特徴の多くは家族療法と共通します。人に原因を求めないため、人に優しいカウンセリングと言えます。当カウンセリングルームでは、ブリーフセラピーを柱にした支援を行っています。

ブリーフセラピー(短期療法)

認知行動療法

それぞれ独自に発展した認知療法と行動療法が統合されて認知行動療法となりました。思考と行動の幅を広げて、適応的に(環境に合うように)変えることで、症状や問題の軽減・解決を目指す心理療法です。

適用範囲が広く、うつ病など心の病の治療や職場のメンタルヘルスなど、多くの分野で活用されています。セルフケア(自分自身で行うメンタルヘルスケア)の書籍で紹介される技法の多くが認知行動療法のものです。

認知行動療法

来談者中心療法

話を聴くときに「受容」と「共感」が大切なのは、人は最初に理解してほしいからだと言われます。日常会話なら正解だと思います。カウンセリングがそこまでで終わると、「カウンセリングは聴くだけ」の誤解につながります。

創始者のカール・ロジャーズは、人は自ら成長に向かう傾向を備えていると考えました。カウンセラーの役目はその力を発揮させることで、それはクライエントが安心して自分自身に取り組む場をつくること、場を作るのはクライエントとカウンセラーの関係であるとしました。

ロジャーズが提唱した「受容」「共感」「自己一致」の3条件は、すべてのカウンセラーが備えておくべき態度として共有されています。

来談者中心療法