周囲にうつ病の人がいたら

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)
うつ病の女性のイメージ
周囲にうつ病の人がいたら受容的に関わり本人のペースを尊重して下さい

うつ病の人をサポートすることは、その人の回復に大きな影響を与えます。しかし、適切なサポートの仕方がわからず、戸惑う人も多いかもしれません。以下のポイントを参考にしてください。

話を真摯に聞き、気持ちを受け止める

  • 批判や否定をせずに、相手の気持ちをそのまま受け止めます。
  • 「そう感じるのは当然だと思います」など、相手の気持ちを認める言葉をかけます。

「頑張れ」「元気出せ」などの励ましは控える

  • これらの言葉は、かえって相手を追い詰めてしまう可能性があります。
  • 代わりに「一緒に乗り越えていこう」など、寄り添う姿勢を示す言葉がけが効果的です。

無理に活動を勧めず、本人のペースを尊重する

  • 「気分転換に出かけよう」と誘うのは控えめにします。
  • 本人が望む場合は、短時間の散歩など負担の少ない活動から始めるのが良いです。

専門家への相談を勧める

  • 「一緒に病院に行ってみない?」など、専門家への相談を促します。
  • 必要であれば、予約や付き添いなど具体的なサポートを提案します。

具体的な手伝いを申し出る

  • 「何か手伝えることはある?」と聞くより、「食事の準備を手伝おうか」など具体的に提案するほうが効果的です。

自殺のサインに注意を払う

  • 「死にたい」という言葉を軽く受け流さず、真剣に受け止めます。
  • 専門家のサポートを得るなど、適切な対応をとることが重要です。

長期的な視点を持つ

  • うつ病の回復には時間がかかります。焦らず、長期的な視点でサポートを続けましょう。

自分自身のケアも忘れずに

  • サポートする側も疲れてしまっては続きません。自分の時間も大切にし、必要に応じて他の人にも協力を求めましょう。

大切なのは、温かく見守り、必要なときにそっと手を差し伸べることです。完璧なサポートを目指す必要はありません。あなたの存在自体が、大きな支えになるはずです。

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カウンセラーのメッセージ

心はどこにあるのでしょうか。脳や心臓を指す人もいますが、「人間」という言葉が示すように、心は「人の間」、人間関係の中にも存在します。これは、私が依拠する家族療法の理論とも一致する考え方です。

人間関係は、心の傷の原因にも、そして癒しの源にもなります。多くの悩みは人間関係から生じますが、同時に、人間関係を通じて癒されます。例えば、上司の言葉に傷つき、同僚や友人に話を聞いてもらってリフレッシュする経験は、まさにこのことを示しています。

しかし、「日々の生活が息苦しい」「自分らしく生きるのが難しい」といった深い悩みや、家庭内トラウマのような心の傷には、単に話を聞いてもらうだけでは不十分な場合があります。専門的なサポートが必要となります。

同時に、安心・安全な場所(人間関係)も重要です。自由に話せ、否定されず受容され、無用なアドバイスをされない環境が、大きな悩みや深い心の傷の回復を可能にします。

私がライフワークとする自信も人間関係を通じて育まれます。自信には「自己効力感」(能力的な自信)と「自己肯定感」(存在や人格への肯定的評価)があります。特に自己肯定感の問題を解決するには、そのままの自分でOKという体験を積み重ねる必要があり、これは人間関係を通じてしか得られません。

私は、専門的なサポートと安心・安全の人間関係を提供することを通じて、あなたの心の健康に貢献します。

このページの執筆者
山崎 孝(公認心理師)

親バカのカウンセラー / 人に原因を求めるのではなく、人と人との相互作用の悪循環に求めます。人に優しいカウンセリングをモットーとしています。

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