良いカウンセラーの見分け方

執筆者:公認心理師・山崎孝

すべての人にとって良いカウンセラーを見つけるのは困難ですが、「あなた」にとって良いカウンセラーの見分け方があります。

このエントリーは、以下の記事に共感して書いています。

見分ける方法のポイントは一つです。

あなたに一生懸命になってくれるかどうかです。

もっというと,あなたが必要としていることを,あなたの立場に立って,全力で理解してくれるかどうかです。

【臨床心理士の真相】いいカウンセラーの見分け方 – アゴラより引用

注)「理解」の太字は当サイト管理者によるものです。

カウンセリングとは

カウンセリングを受ける目的、または、得られる効果には、頭や心の整理、決断、問題や悩みの解決、目標達成などがあります。

それらをカウンセラーが代わりに達成することはできません。カウンセラーの役割は、クライエントが自力で上記の目的地にたどり着くためのサポートです。

主役はクライエントです。カウンセラーは、時には後ろから支えたり、時には並んで伴走します。有益と感じたときは提案やアドバイスすることもありますが、受け入れるか否かはクライエントの意志が尊重されます。

クライエントはカウンセラーとの対話を通じて、自分の内側に触れ、自己理解を深めます。その営みを行うのに必要なのは、安心・安全な場所と関係性です。関係性の土台となるのがカウンセラーの理解です。

理解とは何か?

では、理解とは何か。一般的な用語には注意が必要です。どのようになれば理解されたと言えるのか。定義が曖昧だからです。

違いを説明するために、理解のレベルを3つに分けてみます。

  • (1)話の内容を理解するレベル
  • (2)言語化された考えや気持ちを理解するレベル
  • (3)まだ言語化されていない考えや気持ちも理解するレベル

(1)話の内容を理解するレベル

ニュースを聞いて内容を理解するのと同じレベルです。出来事や状況などの理解にとどまります。

(2)言語化された考えや気持ちを理解するレベル

その出来事や状況において、考えていること、感じていることを理解します。他人に相談したいのは多くの場合、出来事や状況自体より、そのことによる心理的な痛みがつらいからです。

(3)言語化されていない考えや気持ちも理解するレベル

誰もが感じていることのすべてを言語化しているわけではありません。カウンセラーは、クライエントの表情・仕草・声のトーンなどにも気を払いながら、まだ言語化されていない「感じ」にも耳を傾けます。

カウンセラーは感じたことをクライエントにフィードバックします。クライエントはそれを自分の内側に響かせます。まだ言語化されていない「感じ」がついに言葉で表現されるとき、「そうそう!感じていたのはこういうことなんです!」という気づきが起こります。

(2)と(3)が実感できること

機能しているカウンセリングは(2)と(3)を行き来しながら進みます。あなたの考えや気持ちが十分に理解されたと感じたら、そのカウンセラーはあなたにとって「良いカウンセラー」の可能性が高いと思います。

ただし、すべてのケースに当てはまるわけではありません。家族療法では、家族メンバー個々の心理面より、メンバー間の相互作用に焦点を当てます。例外はありますが、個人のカウンセリングでは概ね当てはまると思います。

まとめ

あなたにとって良いカウンセラーとは、あなたのことを全力で理解してくれるカウンセラー。

カウンセラーの理解とは、言葉で表現された考えや気持ちに加えて、まだ言語化されていない考えや気持ちにも耳を傾けること。