おそらく今年、私が最も感銘を受けた人になるであろう方は、スピードスケートの小平奈緒選手です。何に感銘を受けたかというと、結果や記録より「あり方」にこだわっていることです。
NHKのWebサイトに、平昌五輪金メダル獲得後の小平選手の記者会見が書き起こしにて公開されています。先日、何となくその書き起こしを読んでました。改めて感じたのは、「本当の自信って、こういうことやなあ」でした。
いくつかを引用しながら、感じたことをつらつら書いてみたいと思います。
ーー金メダルという言葉を大会前に口にすることはありませんでしたね。
自分ではコントロールできない部分でもありましたし、順位とかは相手もいるので、相手がベストの走りをしてくれば私が負けることになるし、そこは自分ではコントロールできない部分だなと思いましたし、何よりスケートが好きなので。
それをいかにこの大舞台で表現できるかっていうことがいかに楽しいことかを、自分自身、感じたかったんだと思います。
「取れるかな」と思っていた 小平奈緒・金メダルインタビュー | SPORTS STORY | NHK https://www.nhk.or.jp/sports-story/detail/20180219_2396.html(2018年11月28日閲覧)
ーー金メダルを早く触りたいですか?
金メダルをもらうことはとても名誉なことですし、うれしいことなんですけれども、私の中ではメダルよりも、メダルを通してどういう人生を生きていくかっていうことが大事になると思うので、メダルに対して、どうっていうすごい思いはないんです。
でもメダルは、周りの皆さんにとって私が戦ってきた証でもありますし、皆さんに支えていただいた証でもあるので、早く皆さんに見せたい、見ていただきたいっていう思いの方が強いです。
“夢成し遂げた” 小平奈緒記者会見 全一問一答 | SPORTS STORY | NHK https://www.nhk.or.jp/sports-story/detail/20180219_2403.html(2018年11月28日閲覧)
結果はコントロールできないけれど、自分自身の「あり方」はコントロールできる。ただただ、何度も頷くばかりです。
ーー羽生結弦選手の活躍に勇気をもらったと言っていましたが、どのようにレースにつながりましたか?
羽生くんの演技はテレビで見ましたが、リンクに立ったとき、演技に向かう姿勢がもうすでに違うなっていうか、もう多分何を考えなくても技が決まりそうなたたずまいをしていたので、私もこんな雰囲気でいけたらいいなというふうには感じていました。
このコメントを見て思い出したシーンがあります。MLBのワールドシリーズでMVPに輝いた松井秀喜さん。優勝を決めた試合の第一打席でした。TV解説の伊東勤さんが松井さんのスイングを見て、「松井、雰囲気ありますね」と言ったんです。その直後にホームランです。わかる人にはわかるんですね。
「たたずまい」や「雰囲気」を作っているのは、普段の「あり方」だと思うのです。結果は本番前に、普段の「あり方」で、ある程度決まっているのだろうと思わされました。
ーー他の人にこれだけは負けないということは何ですか?
私がほかの方々を見ても、それぞれどんな人を見ても、皆さんすごいなって思う部分があるので、これだけは負けないっていう部分を探すのがすごく難しいですけれども。
ただ負けないというより、私が自信を持っているのは、自分の人生、人生というか、自分の生き方を自分で決める、自分で選択することができるっていう部分に対しては、本当に曲げずにここまで歩んでこれたんで。
覚悟を持って自分の進みたい道に行くっていう部分では、すごく、今自信を持っています。
他者と比較をしない。自尊感情が高くて安定している人のお手本を見ているかのようです。
ーー小平選手の最終的な到達点はどこですか?
今は全く想像ができません。駆け抜けている途中なので、ゴールはまだ見えてきません。
でもそれは突然その日が来るのかなとは思っています。
グッときました。
「あり方」さえしっかりしていれば、ゴールが見えてなくても大丈夫。今、目標がなくても大丈夫。「あり方」さえしっかりしていれば、いつか目標が降りてくる。そのように解釈しました。
記者会見やインタビューで見る小平選手の姿は、常に自然体で、気合いや力みが感じられません。小平選手のインタビューやTwitterなどを見る度に、目指すべき姿がここにあると感じます。