怒鳴る上司は「ビビってる」

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)

些細なことでも大声で怒鳴る上司。そんな上司に悩まされている人に効果があったアドバイスを紹介します。これだけで「気持ちが楽になった」とカウンセリングが終結したケースもあります。

この一言を唱えるだけ

アドバイスはこれだけです。

「上司が怒鳴り始めたら、『(こいつ、また)ビビってる』と心の中で唱えてみて下さい」

(こいつ、また)は、しっくりくるようであれば付け加えて下さい。他の言葉でもいいし、なくても問題ありません。

闘争・逃走反応

些細なことにも怒りを振りまいている人は、気が弱い人、自尊心が低い人、自分に自信がない人、等などと言われます。私も同意見です。

「闘争・逃走反応」で説明がつきます。

動物が敵に遭遇したとき、闘うか逃げるか(闘争または逃走)を選択します。多くの場合、まずは逃げることを選択するはずです。シカがライオンに遭遇したら、まずは逃げようとするでしょう。

いよいよ逃げ切れなくなると、窮鼠猫を噛むです。闘って活路を見出そうとします。相手を威嚇して、戦闘態勢を取ります。

闘争も逃走も、元は恐怖です。

怒りは威嚇です。大阪弁で言うと「俺の立場が危うくなるやんけ!」というところでしょう。怖いのです。怖いけれど、仕事なので逃げられません。闘う相手を間違えていますが、安全な相手である部下に向かうのでしょう。

怒りは悲鳴

会社員時代、Nさんという管理職がいました。とても優秀な方で、上司からも部下からも信頼されていました。Nさんは部下を感情的に叱ることは皆無でした。部下のミスやトラブルにも動じることなく、ゆったり落ち着いて的確な指示と指導をされていました。

Nさんにとっては、部下のミスやトラブルは大きな危機ではない。リカバリーできる。そんな感覚でいたはずです。

怒りを振りまいている上司にとっては、部下のちょっとしたミスでも大きな危機なのでしょう。「俺の立場が危うくなるやんけ!」と恐怖が生じます。闘争反応により部下を怒鳴ります。その怒りは悲鳴と考えることができます。「俺の立場が危うくなるやんけ!」と悲鳴を上げているのです。

「(こいつ)ビビってる」と心の中でつぶやいてみる

怒りを振りまく上司は、決して豪快な人物ではなく、むしろ小心者なのです。そんな上司が怒りを振りまきだしたら、「(こいつ)ビビってる」と心の中でつぶやいてみて下さい。

小心者が悲鳴を上げていると考えれば、少しは気持ちが楽になりそうな気がしませんか。実際に試して「楽になった」とカウンセリングが終了したケースがあります。お試し下さい。