一緒に過ごすと楽しいのに結婚生活がうまくいかない

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)

「一緒に遊びに行ったりするのはとても楽しいのに、家では些細なことでケンカになって上手く行かないんです」と言う夫婦がしばしばいらしゃいます。可能性として、SVR理論のR段階でつまずいていることが考えられます。

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男女が出会ってから結婚に至るまでには3つのプロセスがあるとするのがSVR理論です。社会学者のマースタインによって提唱されました。それぞれのプロセスは以下の通りです。

第1段階(S段階・刺激ステージ)

Sとは刺激(Stimulus)です。はじめての出会いから恋愛の初期にかけてのステージです。この段階では外見が重視されます。顔・スタイル・服装などの容姿や、表情・しぐさなどの行動が重視されます。

第2段階(V段階・価値ステージ)

Vとは価値(Value)です。交際がスタートして恋人になるステージです。一緒に行動することが多くなると、価値観や趣味趣向の類似性が重要となります。相性やフィーリングの一致。趣味や好きなことが似ていること。価値観が共有できること。それらがあるからこそ、一緒に過ごす時間が楽しく満たされるものになります。

第3段階(R段階・相補性重視)

Rとは役割(Role)です。共同生活や結婚のステージです。二人での生活を構築するにはお互いの役割関係が重要になります。お互いが役割を分担してお互いを補い合える関係が必要となります。

出会いから結婚まで

簡単に整理すると、出会いは外見が重要、関係が深まるには類似性が重要、一緒に生活するには相補性が重要ということになります。

一緒に過ごす時間は楽しいけれどうまくいかない夫婦、相性が良いのに結婚に至らないカップルは、補完的な関係を持てない、保てないことが要因の一つかもしれません。

ただし、SVR理論は仮説です。参考になりますが、絶対的なものではありません。