感情を開放してスッキリ
友人に話を聞いてもらって心が軽くなる体験をしたことがあると思います。
カタルシスとは、不安や緊張など鬱積(うっせき)した感情を「言葉や行為で表現」することによって開放して浄化することです。カタルシス効果によって、症状が改善したり消失したりすることもあります。
どうでもいい話ですが、初めてカタルシスについて聞いたとき、「語る」にひっかけた言葉だと思いました。本当にどうでもいい話です。
カタルシス(catharsis)はギリシア語で「浄化」を意味します。言葉そのままの意味ですね。ブロイアーという医師がこの効果を発見しました。当時共同研究者だったフロイトが治療に取り入れました。
感情を取り戻す
長い間、つらい気持ちや悲しみを心の内に閉じ込めていると、その感覚が当たり前になってしまい、自分の本当の気持ちに気づけなくなることがあります。
一つ一つ振り返りながら話すことによって、そのときの気持ちが想起されていきます。そうして感情を取り戻していきます。
考えや感情を整理
誰かに話を聴いてほしいときは、たくさんの考えや感情があって混乱しているものです。
それらの考えや感情を相手に話すことによって、相手を通して自分の心の中を見ることが可能になります。距離を置いて眺めることによって客観的な視点が生まれます。そうして、考えや感情の整理が進みます。
幼少期に虐待を受けるなどの過酷な経験をした人は、記憶が断片化したり、抜け落ちたりしていることがあります。
繰り返し話すことによって、断片化した記憶がつながり、抜け落ちた記憶がよみがえり、過去から現在に至る自分の歴史が明確になってきます。
いわゆるアダルトチルドレンと呼ばれる方は、封印していた感情を取り戻して、自分の歴史を統合して、それから次のステップに進むケースが多いようです。
一次感情と二次感情
感情には一次感情と二次感情があります。
一次感情とは、何らかの出来事・状況に遭遇したとき、最初に生じる感情です。二次感情とは、一次感情によって引き起こされる感情のことです。
例えば、小さな子どもが道に飛び出しそうになったとしましょう。そのとき、母親が見せる反応には次のようなものがあります。
1)「びっくりしたー!こわかったー!」と驚きや不安を抱く
2)「飛び出したらあかん!っていつも言ってるでしょ!!」と怒る
1)は一次感情です。わが子に危険が及びそうなときに生じる素の感情です。
2)は二次感情です。驚きや不安は不快な感情です。そんな気持ちにさせないで!という悲鳴にも似た気持ちが怒りで表現されました。
いくら二次感情を表現しても、その元となる一次感情を表現しなければカタルシス効果は限定されます。一次感情に気づくことが大切です。良い聴き手は一次感情を引き出してくれます。
話すだけでなく、絵を描いたり、身体を動かすことによっても
「言葉や行為で表現」ですから、絵を描くなどの行為によって感情を開放することも可能です。絵画療法・箱庭療法・音楽療法・サイコドラマなどの芸術療法でも同じ効果が得られます。
音楽を聴いたりするなど芸術に触れる、切り抜きを貼り合わせるコラージュを作り上げる、、サイコドラマ(心理劇)を作り上げるなどを通じて感情を表現することによって、カタルシス効果を得るという手法があります。
安心・安全な場所と関係
閉じ込めた感情を開放して自分の歴史を統合するには、何を表現しても安心・安全な場所であり、相手との関係が安心・安全であることが必要です。