夫婦会議のススメ(1)

執筆者:公認心理師・山崎孝

家族会議が注目されているという記事に触発されて書いてみました。

家族会議で円満「異議なし」 ノートで議題管理や集中合宿: 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC168O20W1A111C2000000 (参照日2021年12月5日)

家族会議が注目されているらしい

お互い、家事・育児・仕事で多忙なのは、どの夫婦も同じだと思います。特に若い夫婦ほど、その傾向が強いと思います。夫婦・家族で大切なことを話すために、あえて機会を作って会議を開催する夫婦・家族があるという内容です。

当カウンセリングルームでは、夫婦会議という名称は使用していませんが(記事を読んで、これから使っていこうと思いました)、来談されたご夫婦にコミュニケーションの場と時間を作る提案をすることがしばしばあります。

どのような提案をしているかを紹介します。

夫婦会議開催のポイント

ポイントは3つと考えています。3つを必ず満たさなければならないということではありませんが、できるなら1度だけでも試して下さいとお伝えします。

  1. 自宅以外の場所で
  2. 定期的に行う
  3. 話し合いのルールを決めておく

1.自宅以外の場所で(非日常的な空間)

自宅はダメということではありませんが、非日常の場所が好ましいとお伝えしています。日常から離れた環境の方が、日常に煩わされずに話し合いに集中する状態になりやすいからです。

当方ではこれまで「カフェやファミレスはいかがですか」と提案していましたが、コワーキングスペースの会議室も提案に含めようと思いました。閉じられた非日常的な空間であるほど、一面的な考え方や見方から放たれて、思考が自由に柔軟になりやすいからです。

2.定期的に行う(継続する)

試した方の多くが「やって良かった」とおっしゃいます。1度やって良かったなら、是非それを続けて下さい。1度うまくいったのは、単なる偶然かもしれません。次はうまくいかないかもしれません。それは新たな課題を見つける機会になるかもしれません。

特にカウンセリングにお越しになる夫婦は、うまくいかないことを積み重ねていることが多いです。1度うまくいったのは、良い方向へ向かう第一歩を踏み出したに過ぎないと考えるのは望ましいでしょう。

最も良くないのは、パートナーの意志を確認せずに個人の判断でやめてしまうことです。1度うまくいきました。パートナーは2度目、3度目を楽しみにしているかもしれません。それを自己判断だけでやめてしまうと、パートナーは失望して最悪の場合、関係性は会議前より悪くなるかもしれません。

3.話し合いのルールを決めておく

特に会話が噛み合わない夫婦・カップルは、話し合いのルールを決めておくのが望ましいです。例えば、

  1. 一方が話している間は、他方は口を挟まず最後まで聞く。
  2. 話が終わると聞き手は、自分の理解を話し手に伝える。
  3. 話し手が理解されたと感じたら終了。
  4. 交替して1から3を繰り返す。

のようなパターンです。自分たちの状況にフィットするルールを考えてみて下さい。初回はルール作りから始めるのもありでしょう。カウンセリングでは、ルール作りまでを一緒にやって、次回は会議の内容を教えて下さいで終えることもあります。

そもそも会議をする時間がない

「そもそも、そんなことをする時間がない!」とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。そのようにおっしゃる方に、是非考えていただきたいことがあります。

次回のエントリーに続きます。