「今日が俺の頂点」と考えると自分に優しくなれた

執筆者:公認心理師・山崎孝

自分に自信を持てない人ほど自分に厳しいものです。ありのままの自分を受容する、承認するのがむずかしいので、自分に厳しいハードルを課して、ハードルをクリアすることで自分を認めようとします。

しかし、その戦略はうまくいかないことが多いです。ハードルをクリアしても、「もっと高いハードルをクリアしている人がいる」「この程度で」という気持ちが出てきます。きりがありません。いつまでたっても自分を受け入れられません。

以上の話は、多くの人に当てはまることだと思います。では、「世界のトップにいる人はどうなのだろう?」という疑問がいつもぼんやりとあります。答えは「人による」だと思いますけど。

先日、ダルビッシュ投手のオンライン記者会見の記事を見ました。『自分への優しさは強さ』と表現されています。強さを自尊感情(自己肯定感、自分はそのままでOKという自信)に置き換えるとわかりやすいです。

 ダルビッシュ 「コントロールがすごく悪い日があって、四球をいっぱい出した。(野茂さんは)次の日、どういうことを考えますか? 『やばい、やばい』って思うんですか?」

 野茂 「いや、もう、そんなのしょうがないやん」

 割り切った考え方の“野茂流メンタル術”を、ダルビッシュは自分なりに解釈した。

 「(野茂さんは)自分に対して優しくなれる。そういうところが強さ。(自身は)自分を責めてしまう。『俺なんてクソだ』とか『本当に駄目なやつだ』って。自分に対するリスペクトがないし、それが僕の弱さ。そういう面で(野茂さんは)強いなと思う」

ダルビッシュに野茂流メンタル術「自分への優しさは強さ」 (2/2ページ) – 野球 – SANSPO.COM(サンスポ)

表現は異なりますが、明石家さんまさんの「己を過信せず、今日が己の頂点」という考え方は、自尊感情が高くて安定している人柄をよく表していると思います。

たとえ失敗したと感じた時でも、「『俺はまだまだ。ここまでか』と思って生きてる」。さんまにとっては「その日が頂点」で、「今日が俺の頂点なの。明日も人生の頂点。今日が頂点の出来栄えで、頂点じゃない時の方が面白かったとしても、今日は経験とかいろいろなものを交えて”頂点の日”」と考えているからこそ、「悔いはない」という。

明石家さんまの”落ち込まない思考法”「己を過信せず、今日が己の頂点」

さんまさんの言葉にとても勇気づけられました。仕事(カウンセリング)において、「そんなのしょうがないやん」は、そう思えないときもあるのが正直なところです。「今日が俺の頂点」は、割と自然にそう思えます。「今日が俺の頂点。今日のベストを尽くす」と考えると気持ちが楽になりました。

自分を認めるのがむずかしい人は、「今日が俺の頂点」をお試し下さい。おすすめします。