【箱根駅伝】感謝の気持ち

執筆者:公認心理師・山崎孝

箱根駅伝。今年もすばらしい大会でした。感動しました。

学生たちに教えられました

何より感動したのは、総合2位の創価大学がゴールしたときに映し出された、寮で応援する部員たちの姿です。ほとんどの人が優勝を確信していたであろう中、大逆転を許して落胆するのではなく、これまでの最高順位を喜び合う姿でした。

私のほうは、中継を見ながら、創価大学の部員たち、特に小野寺選手の心情を勝手に想像して、苦しい気持ちになっていました。笑顔で拍手を送る選手たちの姿を見て、自分が恥ずかしくなってしまいました。

がんばりたくてもがんばれない人もいる

レース終了後に、各校の選手や関係者の方々の様子がスナップショットのように映し出されました。その中に、スマーフォンで選手が写真を撮っているシーンがありました。それを見て思うことがありました。

ある学生が持っていたスマートフォン。iPhoneの最新モデルに見えました。おそらく親が買い与えたものでしょう。それを批判する意図は毛頭ありません。彼らは時間や労力など、自分自身のすべてを自分自身のためだけに使える環境にいると思います。iPhoneはその象徴に見えました。

彼らが積み重ねてきたものは尊敬に値します。一方で、自分自身のためだけにがんばれる環境を手に入れられない人もいます。そんな人たちの存在も忘れてはいけないと思うのです。

がんばれる環境にいることを感謝

区間賞を獲得した選手へのインタビューでは、まず最初に、大会が開催されたことへの感謝の気持ちが述べられていました。事前に申し合わせができていたと思いますが、それ以前に心からの言葉だったと思います。

今の私が家族にとって誇れる夫や父親であるかと言われると、そう言える自信はまったくありません。しかし、それを目指してがんばれる環境にいます。がんばることを許される環境にいます。感謝の気持ちを胸の奥にしまい込むのではなく、常に感じられる位置に置いて、今を大切にしていこうと決意を新たにしました。