息子が巣立ちました

執筆者:公認心理師・山崎孝

大学院の修士課程を修めて、新年度から東京のIT企業に就職する息子。新年度直前は引越代金が高くなるそうで、早めに引越を済ませて昨日、東京へ巣立っていきました。

冒頭の画像は息子の部屋に残された荷物で、中央に見えるのは楽譜作成ソフトです。高校生当時、学校で使っているのと同じソフトがほしいと言われて買い与えた記憶があります。数年ぶりに見て、何とも切ない気持ちになりました。

彼は中学・高校と吹奏楽部で活躍しました。特に高校時代は存在感を発揮していたようです。彼の父親というだけで、保護者会での私の認知度が高いということがありました。彼の活躍を誇りに思っています。

高校生までの彼との関係は、以下のエントリーで振り返ったことがあります。

大学生になった彼は、早々に自立した感があります。すべて自分で決めて、すべて自力でやってきました。自宅から通っていましたが、インターンで1ヶ月以上家を空ける機会がしばしばありました。必要なら一人暮らしも楽勝だったでしょう。

それは頼もしくもあり、さびしくもありました。

さびしさをもたらしたのは、すべて私自身の責任です。先ほどのエントリーで触れているように、私は幼い頃の彼を怒鳴って育てました。その結果、彼にとっては親は、衣食住のみを頼る存在であって、精神的に頼る存在ではなくなったと思います。

彼のように育った人は、自尊感情が低いことが多いです(彼自身がどうなのかわかりません)。自尊感情とは、流行の言葉だと自己肯定感です。平たく言うと自信です。自尊感情が低い人は、対人関係などで、やりづらさ、行きづらさを感じることが多いです。

彼と私の関係は、私と父親の関係に似ています。父親は私を怒鳴りはしませんでしたが、恐怖でコントロールしました(自覚していないでしょうけど)。私にとって親は、精神的に頼る存在ではありませんでした。私はもう50代半ばですので、これから変わることはないでしょう。

私がカウンセラーとしてどのような専門性を持とうかと考えたとき、最初にピンときたのが自尊感情です。息子や父親のことを考えたわけではなく、自然に浮かんできました。今はライフワークだと思っています。

夫婦のカウンセリングに力を入れているのは、自尊感情が育つ土台は家庭であり、家庭の核は夫婦だからです。夫婦のサポートは間接的に、子どもの自尊感情をサポートすることになると考えたからです。現在、最も多く相談を受けているのは夫婦の問題です。

ひょっとして、いつか息子が精神的なサポートを求めてきたときのために、この仕事を通じて修行しているのか俺!? なんてことをふと考えました。こじつけが過ぎるような気もしますが、仕事には生き様が反映される部分もあるでしょうから、案外そうなのかも思ったりしています。