「悩みを解消するには、問題を解決しなければならない」
悩みが長期化しやすい人は、問題解決以外の方法を持っていない傾向があります。
「問題を抱えながらも、悩みを引きずらない」
切り替えが早い人は、悩みと問題を切り離して対処しているようです。
問題解決には時間がかかることが多い
問題解決には時間がかかることが多いです。
解決できない問題もあります。人事異動で苦手な人が上司になったようなケースは(少なくとも短期的には)解決を期待できません。
このようなケースでは、問題解決以外の解決を探るしかありません。
悩みは「思考」
悩みとは、苦しみを伴う思考です。問題そのものが悩みの正体ではなく、問題が引き起こす、苦しみを伴う思考が悩みです。思考を繰り返す回数に比例して、苦しみが増していきます。
反すう思考(ぐるぐる思考)が解決を遠ざける
同じ思考を繰り返している状態を、反すう思考またはぐるぐる思考と言います。
反すう思考を繰り返す回数に比例して苦しみが大きくなります。頭の中が反すう思考で満たされると、他のことを考える余力が少なくなります。
反すう思考は頭を疲労させます。思考能力が低下します。いつもより時間がかかります。ミスが起きやすくなります。新たな悩みの種を発生させてしまうこともあります。
問題解決以外の悩みの解決
問題そのものには何の変化もないけれど気持ちが楽になった。悩みが悩みでなくなった。そのような経験は誰にでもあるはずです。いくつか例をあげてみます。
- 同僚や友人に話を聞いてもらって気持ちが楽になった。
- 悩んでいるのは自分だけではないのを知って気持ちが楽になった。
- 上司や先輩に相談すると予想外のサポートが得られた。
- どうにかなるさと開き直れた。
- 解決しなくても自分だけの責任ではないと感じた。
- このピンチを成長の機会にしようと考えが切り替わった。
- あえて忙しくして悩みについて考える時間をなくした。
- マッサージやサウナで身体をほぐすと気持ちも楽になった。
- お酒やカラオケで気分転換した。
- この状況に慣れてきた。
- 時間が解決した。
100%の解決を目指すと解決が遠ざかる
上記の例を読んで「100%の解決ではありませんよね」と思う人がいるかもしれません。その考えは、白黒思考です。白黒思考は多くの場合、かえって解決を遠ざけます。
悩んでも悩まなくても、問題そのものは変わりません。
それなら、心の折り合いをつけて、悩みをそれ以上大きくしないように、できるだけ健康度を高く保つことを目指しましょう。そうするほうが、問題の対応力が保たれます。
話を聞いてもらっても、問題そのものは解決しないでしょう。しかし、悩みのサイズが小さくなると、思考能力が回復に向かいます。
お酒やカラオケなどの発散は、悩みから目を背けさせているだけと言えるかもしれません。しかし、悩みの悪影響が小さいほうが、問題解決に近づきやすいでしょう(過度な飲酒にはくれぐれもご注意下さい)。
解決の幅を広げる
個人的には、考え方を変える、性格を変えるという考え方を好みません。考え方や行動の「幅を広げる」という考えを積極的に採用しています。
今の考え方や行動のパターンを持ち続けているのは、これまでの人生において、概ね役に立ってきたからのはずです。それを捨ててしまうのはもったいと思います。
新たなパターンを加えて幅を広げると、対応力が増していくはずです。それがレジリエンス(困難やストレスに直面したときに、継続的に機能し、回復し、成長する能力。柔軟性、強さ、回復力を意味する)を高めるはずです。