楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい

執筆者:公認心理師・山崎孝

笑うから楽しい

「自信をつけたい」「性格を変えたい」という相談をよく受けます。

そのような相談を受けたとき、私はよく、次のような質問をします。

「自信がついた○○さんの行動は、自信がないとき、どのように変わっていますか?」

「○○さん(来談者さん)が望む性格に変わったとしましょう。どのようなことによって変わったと実感しますか?」

他人に頼まれるとノーと言えずに何でも引き受けてしまい、自分のことを後回しにして苦しくなる人なら、「都合が悪いときには、はっきりノーと言うこと」かもしれません。

部下や後輩に指示したり、他人に頼むことが苦手で、一人で抱え込んでしまう人なら、「まずは、抱えていることの一つを部下に振ること」かもしれません。

このように、具体的な行動に落とし込みます。そして、その行動を実行できるように、来談者さんとカウンセラーが一緒に取り組んでいきます。

目標を具体的な行動レベルに落とし込むと、できるようになりたいことは、一つではなく複数あることが多いです。それらをハードルの高さによって分類して、低いものから高いものへと取り組んでいくのが一般的です。

「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」という言葉があります。それに倣うと、「自信があるからできるのではなく、できるから自信がつくのだ」となります。

このような取組のメリットの一つは、日々の課題に対処しながら自信を育てていけることです。また、課題を一つ一つクリアするという積み重ねによって、自信があるかないかの白黒思考ではなく、一歩一歩進んでいることを実感できることです。

以上、自信を育てるには、目標を具体的な行動レベルな落とし込んで、一つ一つクリアしていくというお話でした。

もちろん、この方法が唯一ものではありません。山の頂上へ至るルートがたくさんあるように、自信を育てる方法もたくさんあります。

また自信には、できる自信、あり方の自信、受け入れられる自信の3つがあるというのが自説です。それぞれ一人で取り組めること、人間関係において育つものがあります。詳しい内容は次の機会に紹介します。