認知行動療法の面接

執筆者:公認心理師・山崎孝

構造化

認知行動療法の特徴の一つに「構造化」があります。構造化とは、決められた一定の順序通りに進めることです。認知行動療法では、カウンセリングの開始から終結までの過程を構造化します。また、一回の面接の流れも構造化します。進捗状況などを共有しながら進めます。

注)面接法としての「構造化面接」と認知行動療法の「構造化」は異なります。構造化面接とは、あらかじめ質問内容を設定しておく面接法です。

構造化を原則とする認知行動療法らしく、症状に応じた進め方がマニュアル化されています。たくさんの技法の中から症状に合わせてパッケージ化されています。マニュアルは厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

全体の構造

厚生労働省のホームページに公開されている「うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル」では、全体の構造を6つのステージに分けています。週1回の面接(セッション)を16回行います。

第1、第2ステージは導入期です。4回の面接を想定しています。治療関係を結ぶ、うつ病、認知行動療法の理解、症例の概念化、クライエントの活性化などが目標となります。

第3、第4、第5ステージは実践期です。10回の面接を想定しています。技法の習得や行動実験などに取り組みます。

第6ステージは仕上げの時期です。振り返り、再発予防などに取り組みます。

セッションの構造

1回の面接の流れは、チェックイン、ホームワークの振り返り、当日の面接で取り扱う内容(アジェンダ)の決定、内容についての話し合い、面接のまとめ、フィードバック、ホームワークの設定、他のようになります。

クライエント自身がセルフカウンセリングできることを目指す

認知行動療法の原則の一つに、クライエントがセルフカウンセリングできるようになることを目指すというのがあります。構造化の目的には、限られた時間の効率的活用、クライエントとカウンセラーの進捗度の共有がありますが、技法や進め方の習得を促進することにもつながっています。

当方では、ここで紹介したようなガチガチに構造化されたカウンセリングは行っておりません。傾聴をメインとして、状況や出来事を家族療法の見方で捉えて、介入には認知行動療法の技法も用いるという折衷的なカウンセリングを行っています。