やる気を起こす方法

執筆者:公認心理師・山崎孝

「やる気」が出ないから先延ばし。先延ばしして自己嫌悪。ますます自信をなくす悪循環。私も繰り返してきました。今も時々やってしまいます。

やるべきことを、集中して次から次へとこなしていく。「やる気」が出ている状態とは、このような状態だと思います。そのような状態になるためには、何をすれば良いかを考えてみましょう。

先延ばしの心理

先延ばしの原因の一つは不安です。

これを書いてる私は不安を感じています。「ちゃんと書けるだろうか?」「(同業者などから)失笑を買わないだろうか?」といった不安です。

不安に対処するには、不安という感情を起こす認知(受け取り方・考え)に焦点を当てるという方法があります。

例えば、「ちゃんと書けるだろうか?」「失笑を買わないだろうか?」という認知を、「60点なら合格」「すべての人に認められなくても大丈夫」とバランスの取れたものに置き換えることです。

しかし、認知は簡単に変わらないものです。「言ってることはわかるけど・・・」となりがちです。もっと良い方法がほしいです。

作業興奮

大脳辺縁系に側座核という器官があります。物事に意欲的に取り組んでいるとき、すなわち「やる気」が発揮されているときは、この側座核が活動してます。

「やる気」を出すには側座核を活動させればいいんです。

しかし、側座核は中々活動してくれません。じっと待ってるだけでは活動しません。

「作業興奮」という言葉があります。まったくやる気が出ないけど、仕方なくやりだした。やってるうちに、気がついたら集中していた。これを「作業興奮」と言います。

「作業興奮」を起こすには、とにかく「やる」ことが必要なのです。

認知は簡単に変わらないと言いましたが、変わる変わらない以前に、そのようなことを考えてる時点でダメです。思考は行動をストップさせます。

考える間もなくスムーズに行動に入れる環境作りが肝です。以下は参考動画です。

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整理整頓

年末に自宅の机を片づけました。きれいになると机に向いたくなりますね。机に向かうと、購入して積み上げたままの専門書を手にとり、読み始めました。片づけてるうちに「作業興奮」が起こったようです。

まずは、作業スペースの整理整頓を行いましょう。

机の上が汚くても、高い集中力を発揮して、良い仕事をする人がいます。持って生まれた才能の一種だと思います。真似ようとするより整理整頓する方が早いです。

段取りと細分化

先にも行った通り、これから作業というとき、「さて、何をやろうか」と考え始めているようではいけません。思考は行動を制止します。

作業の前に、何をどのような順番で行うかの段取りを済ませておく必要があります。そして、作業の単位をできるだけ細分化することが大切です。

「ブログを書く」では、大ざっぱすぎます。「タイトルを決める」「(導入、本論、まとめ等の)構成を決める」「画像を探す」「導入を書く」のように分割します。

がんばらなくても普通にできるサイズに細分化します。普通にできるのですから、「ちゃんとできるだろうか?」のような雑念に惑わされません。

不要なものは排除する

作業に不要なものは排除します。集中力を保つためです。

私の場合、スマホはサイレントモードにて視界の外に。作業中は電話に一切出ません。パソコンを使わない作業ならノートパソコンは閉じます。一人職場なので、これで不要なものは排除されます。

多くの人は会社など組織に所属しているでしょうから、私と同じようには行かないと思います。例えば「○時までは電話を取り次がないで」などと同僚に依頼して、会議室にこもるなどのやり方が考えられます。

完璧を目指さず可能な範囲で行うことです。

まとめ

やる気や集中力に関する情報はたくさんありますが、まずは2つのポイントを抑えましょう。

  1. 考える必要のない状態を作ること。
  2. 集中力を乱す不要なモノは排除すること。

お試し下さい。

<参考>
海馬―脳は疲れない 池谷 裕二, 糸井 重里 新潮社 (2005/06)
脳から自分を変える12の秘訣 築山 節 新潮社 (2013/6/26)