自己肯定感は高くなければダメなのか?

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)

結論から言うと、低すぎるのは良くありませんが、高すぎることによる弊害もあります。英語で言う「Good enough」、「そこそこ良い」くらいが望ましいようです。


1986年、アメリカのカリフォルニア州で、州民の自尊感情(自己肯定感と同義)を高める取り組みが行われました。

「社会の問題の多くは個人の自尊感情の低さに起因する」「子どもの自尊感情が高まれば学習意欲が高まり、非行や反社会的行為を未然に防げる」との考えから行われたプロジェクトでした。

しかし、その仮説を裏付ける結果を得られなかったそうです。


また、別の研究では、「あなたはやればできる人よ」のように自尊感情を高めるようなメッセージは、成績の悪い子どもに反省の機会を失わせるなど、マイナスの結果が出たそうです。

さらに、他者への攻撃性と自尊感情の関連を検討する研究では、他者への暴力行為は、自尊感情の低い人より高い人に多く見られるなど、自尊感情の高い人は自分の優越や優勢を示すために、しばしば他者を害することが報告されました。


「自己肯定感が低い」「自分に自信を持てない」は多い相談の一つです。

当カウンセリングルームでは、自己肯定感を高めようとは考えません。自己肯定感が低いことで何に困っているのか。その困りごとの対処や解決をサポートします。自己肯定感にとらわれない自分でいることを目指しています。


【参考ページ】
「自己肯定感は、低いとダメなの?高い方がいいの?」就活と自己肯定感|NHK就活応援ニュースゼミ https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu715/ 令和5年3月7日(火)閲覧

【参考文献】
中間玲子編(2016)『自尊感情の心理学 理解を深める「取扱説明書」』金子書房
中室牧子(2015)『「学力」の経済学』ディスカヴァー・トゥエンティワン
Does High Self-Esteem Cause Better Performance, Interpersonal Success, Happiness, or Healthier Lifestyles? – Roy F. Baumeister, Jennifer D. Campbell, Joachim I. Krueger, Kathleen D. Vohs, 2003 https://journals.sagepub.com/doi/10.1111/1529-1006.01431