第66回全日本吹奏楽コンクール高校前半鑑賞

執筆者:公認心理師・山崎孝

去る10月21日(日)、全日本吹奏楽コンクール高校前半を鑑賞しました。

それにしても、チケットが取れません。私の周囲で当選した人はゼロ。出場校の割り当て分をいただけたので鑑賞できました。わが子は高校3年生。今年が最後になりそうです。

朝イチは本当に音が響かないのですね。音楽には門外漢の私にもはっきりわかる程度に響きませんでした。不利と言われるのももっともです。生徒が気の毒になりました。

そんなこんなでプログラムが進んで、7番目は東海大付属高輪台高校でした。昨年、大阪桐蔭とジョイントコンサートを行った縁のあるバンドです。元気いっぱいで気持ちのいいバンドです。実力も折り紙付きの名門です。楽しみにしていました。

とても良かったです。特に課題曲がお気に入りです。この時点で今日一番の演奏と感じました。

休憩を挟んで8番目は、われらが大阪桐蔭。

課題曲(マーチ)が高輪台と同じなので、どうしても比較してしまいます。高輪台のマーチは元気はつらつ。動画の生徒と同じ。桐蔭のマーチは良く言えば繊細。悪く言うと大人しい。高輪台の音は目の前で鳴っている。桐蔭の音は手を伸ばした先で鳴っている。

改めて会場で購入したCDを聴いてみました。感想は同じです。

自由曲は「魔法使いの弟子」です。梅田先生が中学生を指導されていた時代のコンクールの自由曲、第5回定期演奏会で演奏された曲です。

以前、梅田先生に、「コンクールは出ることに意義があるんでしょ」と聞いたことがあります。「そのような面はあるけれど、コンクールをがんばりたい生徒もいるから、その気持ちには応えたい」(私の主観を含む意訳)と返ってきました。

コンクールをがんばりたくない生徒はいないでしょう。ただ、55人しか出場できないコンクールより、全部員での演奏が好きという生徒が確実にいます(うちの娘がそうです)。また、最近はコンクールより、ミュージカルや甲子園応援演奏にあこがれて入部する部員が増えています。

今や、大阪桐蔭吹奏楽部にとって、コンクールは最大の目標ではありません(私の主観)。創部間もない無名の頃は、生徒を集めるためにコンクールで結果を出す必要があったはずです。3年連続金賞の頃は、コンクールは大きな目標だったはずです。

「笑ってコラえて」で取り上げられて以来、テレビ出演が年々増えて、野球部の活躍のおかげで甲子園応援演奏が広く知られることになり、吹奏楽に縁のなかった人にも注目される機会が増えました。今や、コンクールの結果にこだわる必要がなくなりました。

大阪桐蔭吹奏楽部にとって、年間約80回の本番演奏は練習の場です。練習で経験できないことを経験する場です。その積み重ねで成長してきました。コンクールも貴重な経験の場なのでしょう。

そう考えると、銀賞で良かったのかなと。

一夜明けて、朝日新聞朝刊にコンクールの記事が掲載されました。娘のコメントが採用されていました。

コンサートミストレスを務めたコントラバスの○○(娘の名前)さん(3年)は「会場から『ブラボー』の声もいただき観客に魔法をかけられたと思う」と笑顔だった。

2018年10月22日 朝日新聞 大阪北摂13版 より引用

娘に聞いてみました。

私「おまえ、ホンマに『観客に魔法』って言うたん?」

娘「もっといいことたくさん言ったのに、使うのそこ!?」

娘「観客に魔法って、妖精みたいで恥ずかしい…」

と嘆いてました。

我が家の良い記念になりました。朝日新聞さん、ありがとうございます。

次の日曜日(10月28日)は、日本管楽合奏コンテストに挑みます。大阪桐蔭は全部員で舞台に上がります。大阪桐蔭吹奏楽部らしさを味わうなら、コンクールよりこちらでしょう。まだチケットは入手可能なようです。お近くの方は是非。