
不倫をしてしまい、パートナーを深く傷つけてしまったあなたへ。
パートナーを傷つけてしまったことへの後悔、そして関係を修復したいという切実な願い。今、あなたは大きな葛藤の中にいるだろうと思います。
傷つけてしまった罪悪感、どうすれば許してもらえるのか、途方に暮れているかもしれません。パートナーの苦しみを目の当たりにし、自分を責め続けているかもしれません。あなた自身も、深い後悔と自己嫌悪に苦しんでいるかもしれません。
その苦しみと向き合い、変わろうとすることが、パートナーへの誠意を示す第一歩となるはずです。
この投稿では、不倫がパートナーに与える心の傷の深さを理解し、関係修復のためにあなたが取るべき行動について提案します。
不倫は、パートナーの人生を狂わせるほどの深い傷になることがあります。不倫が発覚した瞬間、傷ついた側は深い絶望や怒りを抱え、心に大きな傷を負います。その中でも代表的な症状がフラッシュバックです。この症状は、不倫がもたらすトラウマの象徴ともいえるものです。
不倫による傷は、時間をかけて丁寧に向き合わなければ癒えない深いものです。しかし、あなたが真摯に向き合い、継続的な努力をすることで、回復への道を歩むことが可能です。
不倫による心の傷:それはトラウマ
不倫はパートナーに深刻な精神的ダメージを与える行為です。この傷は単なる感情の一時的な動揺ではなく、トラウマのように長期間にわたり影響を及ぼすことが多いです。特にフラッシュバックに悩まされる人が多く、不倫がもたらす心の傷の象徴ともいえます。
トラウマとは?:心の傷のメカニズム
トラウマとは、その人の生命や存在を脅かすほどの強い衝撃を受けたときに負う、心の傷のことです。多くの場合、以下のような症状が現れます。
それぞれを説明します。
侵入症状・再体験症状(フラッシュバック)
過去の体験が、今まさに起きているかのように鮮明によみがえる現象です。不倫の場合、具体的な場面や感情が、現在進行形で体験されているかのように感じられます。不倫をされた方の多くが体験し、長期にわたって悩まされることもあります。
例:テレビで芸能人の不倫の話題が取り上げられているとき、パートナーが不倫相手と会っていた場所を偶然通りかかったときなどに、その情景がまるで目の前で繰り広げられるかのように感じる。
過覚醒(不安や恐怖にとても敏感になる)
カウンセリングでは「不安センサーがとても敏感になる」と説明しています。常に神経が張り詰め、危険を探知しようとします。自分を守るための機能と言えます。
例:パートナーがスマートフォンを操作しているだけで不安になり、怒りや悲しみが湧いてくる。帰宅時間がいつもより少し遅くなると、不安をコントロールできなくなる。
回避・逃避・感情の麻痺
トラウマを思い出させるような場面や感情を避けようとする反応です。同時に、感情を感じること自体を封じこめることもあります。
例:思い出の場所にパートナーが不倫相手と行った場合、そこが思い出の場所から苦痛の場所に変わります。その場所へ行けなくなります。
気持ちが多少落ち着いてきた頃に、思い出を上書きするために、パートナーと一緒にその場所へ行くことを求めるケースもあります。あなたが(フラッシュバックなどを怖れて)行くことを渋って、新たな怒りや悲しみの種になることもあります。
思考と感情の陰性変化(否定的な変化)
「私は愛されない」「他人は信用できない」など、自分や他人に対する否定的な考えが持続的に浮かぶようになります。恐怖、怒り、罪悪感などのネガティブな感情が続き、興味や喜びの感情が失せて、社会的に孤立しているような感覚を持つことがあります。
例:「私は魅力がないから被らがれた」「もう誰も信じられない」といった考えに支配される。
自分を守るための反応
以上の症状は、これ以上の傷を負わないようにするための、自分を守るための機能でもあります。しかし、一つ一つが傷ついた側の生活を困難にします。
これらの症状を理解することは、不倫によって傷ついた側の苦痛を正しく認識し、適切に寄り添うための第一歩となります。
フラッシュバックとは?:なぜ鮮明によみがえるのか
フラッシュバックは既に紹介したトラウマの症状の一つですが、パートナーの不倫の件でお越しになる方の多くが、その苦しさを訴えられますので、ここで改めて詳しい説明を加えておきます。

上図は通常の記憶とトラウマ記憶の違いを説明するためのものです。
通常の記憶は、図のように、出来事、感覚、感情が整理され、一つの物語として脳に保存されます。
しかし、トラウマとなるような衝撃的な出来事は、脳が処理しきれず、出来事、感覚、感情がバラバラのまま、いわば断片化された状態で記憶されます(図を参照)。これらの断片が、ふとしたきっかけでよみがえり、現実と混ざり合ってしまうのです。
出来事・感覚・感情が衝撃が大きすぎて、脳の処理が追いつかないために、バラバラの状態で記憶されると考えられています。バラバラの状態で冷凍保存されていると表現されています。
感覚や感情が色あせずに、みずみずしいまま保存されていると考えればわかりやすいと思います。
何かのきっかけで解凍されて、あたかも今この瞬間に起きているように体験するのがフラッシュバックです。
カウンセリングでは、フラッシュバックが起きたときの対処や、バラバラの状態の記憶が整理される過程を進める取り組みも行います。
心の傷の広がり:現在・過去・未来への影響
不倫による心の傷は、現在だけでなく、過去の幸せな記憶を汚し、未来への希望を奪ってしまうことがあります。
しかし、傷つけた側がこのことを認識していないことがあります。この認識の不一致が再構築の過程で新たな傷つきをもたらすことがあります。
現在の傷:裏切りの衝撃と自己肯定感の喪失
不倫が発覚した直後、最も強烈に感じられるのが、パートナーに裏切られたという衝撃です。
「なぜこんなことをされたのか」「自分に何か欠けていたのではないか」と自問自答を繰り返し、裏切られた悲しみ、怒り、混乱に押しつぶされそうになります。
自己肯定感が著しく損なわれることがあります。「パートナーは私のことを本当に愛していたのだろうか」と、自分自身の価値を疑ってしまうことがあります。
過去の傷:幸せだった時間の変質
これまで築いてきた夫婦生活そのものが無意味だったのではないかという思いに苛まれることがあります。過去の楽しかった思い出さえも、不倫という事実によって色あせてしまい、「あの時間は何だったのか」「自分が信じてきたものは偽りだったのでは」と、虚無感、後悔、失望に襲われます。
「あのときパートナーは不倫相手と会っていたのか」と思うと、楽しい思い出も過去の幸せの象徴ではなく、裏切りの証としてしか見えなくなるかもしれません。
未来の傷:希望の喪失
不倫による心の傷は、未来への不安や絶望感として現れることもあります。「この先どうやって信じて生きていけばいいのか」「もう幸せになることはないのでは」と、これからの生活に希望を見出せなくなることがあります。
不倫による心の傷は、夫婦の人生に大きな影を落とします。周りの人に支えを求めたり、専門家の助けを借りたりしながら、少しずつ心の傷を癒していくことが大切です。
傷ついたパートナーに寄り添う:具体的な行動
傷ついた心を癒すには、心への寄り添いが重要です。
しかし、寄り添いとは、そもそも何でしょうか。特に男性には、ピンとこない人が少なくありません。
辞書を引くと《からだをすり合わせるように、そばへ寄る。すぐ近くに寄る。寄りつく》と身体的な接触について書かれてありますが、ここでは、以下のように定義したいと思います。
相手の状況、感情、考えなどに心を寄せ、理解しようと努めること(共感)。その上で、相手を尊重し、支え、共に歩む姿勢を持つこと。
身体的ではなく、精神的な意味での寄り添いです。そのための姿勢や行動を以下に提案します。
パートナーのペースを尊重する:心の回復には時間が必要

傷つけた側は再構築へのスタートラインに立っていますが、傷つけられた側は傷が癒えるまでスタートラインに立てません。
傷つけたあなたが再構築に向けて気持ちが準備ができたとき、傷つけられたパートナーは苦しみの真っ最中にいます。パートナーの不倫による傷は、心の骨折に例えられます。骨がひっついて、リハビリを終えて、ようやくスタートラインに立てます。
骨がひっつく前に無理に前へ進もうとすると、より悪化するのは想像に難くありません。寄り添いとは、パートナーのペースを尊重することも含みます。回復には時間がかかることを理解し、焦らず、パートナーの状態に合わせることが大切です。
パートナーの心の傷に気づく:小さな変化を見逃さない
パートナーの言動をよく観察することです。パートナーに関心を示すことは、パートナーに寄り添っていることでもあります。
心の傷のサインに気づく努力をしましょう。例えば、感情の起伏が激しくなる、不眠や悪夢に悩む、日常生活に支障をきたすといった症状が見られることがあります。これらは不倫がもたらす心の痛みを示しています。
普段と違う様子がないか、些細な変化に気を配りましょう。
透明性を持った行動:安心感を与えるコミュニケーション
信頼を回復するためには、行動の透明性を高めることが大切です。例えば以下のような取り組みです。
感情を受け止める:共感の言葉をかける
パートナーの怒りや悲しみをしっかりと受け止めます。
相手の感情を否定してはいけません。ただ「申し訳なかった」と言うのではなく、「つらい想いをさせて申し訳なかった」「悲しかったよね」「不安だったよね」のように感情に応答します。気持ちを受け止めて理解していることを伝えることが重要です。
この応答は、出来事・感覚・感情がバラバラの状態で記憶されているトラウマ体験が、物語として整理されていく過程を進める意味もある重要な取り組みです。
たとえ厳しい言葉を受けることがあっても、それはパートナーが感じた痛みの表れです。受け止める姿勢が求められます。
行動制限を受け入れる:一時的な制約を受け入れる
傷ついた側の不安を和らげるため、一時的に、あなたの自由を制限されることを受け入れる姿勢が必要です。
これらは、例えば最初の3ヶ月間といった期間限定の措置です。永久に続けるわけではありません。多少の窮屈さは甘んじて受け入れる必要があります。
カウンセリングの活用
パートナーの心の回復を助けるために、専門家の助けを借りることも有効です。カウンセラーが間に入り、双方の感情を整理したり、信頼を築くための具体的な方法をアドバイスします。
避けるべき行動:傷を深めないために
ここでは、関係修復のために避けるべき行動について説明します。以下の行動はパートナーの傷を抉る結果になることがあります。
逆ギレや感情的な応酬:冷静な対応を心がける
傷ついた側が感情を強く表すときに、つい感情的に返してしまうのは注意が必要です。そうした対応は、相手の寂しさや怒りをさらに大きくしてしまうことがあります。
しかし、傷つけた側にも限界があります。どのような感情も無制限に受け入れ続けるのは不可能です。傷ついたパートナーを支えるためにも、限界になる前に外部のサポートを求めることを強くおすすめします。
問題の過小評価:真剣に向き合う姿勢を示す
「もう終わったこと」「時間が経てば解決する」といった態度は、傷ついた側の感情を無視する行動です。不倫の傷が持つ長期的な影響を軽視する姿勢は、信頼回復の妨げになります。
「こんなことくらいで、いつまでも気にするのはおかしい」といった言葉は、パートナーをさらに傷つけてしまう可能性があります。そもそも、「こんなことくらい」ではありません。
約束を守らない:小さな約束こそ大切に
一度口にした約束を破ることは、信頼を損なう大きな要因です。些細な約束であっても、それを軽視すれば傷ついた側の不安が再燃します。
できるだけ傷ついたパートナーの要望を受け入れるべきですが、出来ない約束をするのは望ましくありません。約束するとパートナーは期待します。期待値を上げてからの失望は、より大きな傷につながります。できないことを約束すべきではありません。
一方、傷つけられた側は、無茶な要求をするのは避けなければなりません。制裁を加えたい気持ちは大いに理解できます。しかし、無茶な要求を強いて、実行されなくて、さらに傷つくことを繰り返せば、再構築はますます遠のきます。
そのような状態になってしまうと、2人だけではコミュニケーションが困難になると思います。カウンセリングの利用をご検討下さい。
自分の正当化:背景にある問題と向き合う
「不倫をしたのは、あなたが〇〇だったから」といった正当化は、傷ついた側の心をさらに傷つけます。どのような理由であれ、不倫という行為がパートナーを傷つけたことは事実です。
ただし、再構築を目指す上では、なぜ不倫に至ってしまったのか、その背景にある問題にも目を向ける必要があります。
例えば、パートナーからモラハラ的な言動を受け続けてきて、不倫(またはお酒やギャンブルなど)に拠り所を求めてしまったような例です。再構築へ向かうのであれば、不倫の問題と夫婦関係の問題の双方に取り組む必要があります。
このようなケースでは、2人だけで進めるのは困難なことが多いです。カウンセリングの利用を強くおすすめします。
最後に:希望を持って、共に歩む
不倫による心の傷は、時間をかけて丁寧に向き合うことで少しずつ癒されていきます。しかし、その過程には傷つけた側の理解と努力が欠かせません。傷ついたパートナーの気持ちや苦しみに耳を傾け、寄り添う姿勢を持つことが、関係再構築の第一歩となります。
この投稿では、不倫がもたらす心の傷の特徴や、傷つけた側が取るべき行動、避けるべき行動について紹介しました。それぞれのポイントを実践し、誠実に向き合うことが、傷ついた側の回復を支える力になると確信しています。
心の傷が癒えるには時間が必要です。焦らず、相手のペースを尊重しながら歩み寄ることが大切です。必要であれば、専門家の助けを借りることをためらわないでください。カウンセリングは、2人の対話をサポートし、再構築への道筋をともに探る心強い味方となります。
再構築の道のりは簡単ではありませんが、継続した努力が信頼を取り戻し、より深い絆を育むきっかけになることもあります。一歩一歩、着実に進んでください。
不倫からの再構築をサポートしています。詳しくは以下のページをご覧下さい。
参考ページ:不倫から再構築