他者との関わりが自信を回復させる

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)

傷ついた自信、失った自信は、他人との関わりを通して回復します。

典型的な事例をTwitterで見つけました。


Tweetの主はドイツ在住の日本人女性でした。ドイツ人の夫と日独ハーフの幼稚園児の娘さんがいらっしゃるようです。その娘さんの言葉に傷ついて、どこかに吐露したいという感じでした。

娘さんの言葉は、「ママは幼稚園に来ないで。ママだけが日本人で恥ずかしい」という意味のものでした。

娘さんは、みんなと一緒でないことを恥ずかしく感じたのでしょう。

Tweet主は、このときが来ることを予想していました。しかし、それが来るのは思春期と予想していたようです。心の準備が整っていなかったようです。


そのTweetに、同じく海外で暮らす、先輩日本人ママさんからのレスが次々につきます。

「うちもそうでした」「でも辛いですよね」等の共感の言葉と一緒に、たくさんのエピソードが寄せられました。

共感の言葉が続くうちにTweet主は、「この葛藤はみんなが通った道でいずれ乗り越える」と整理して、受け止める覚悟ができたようです。そうして自信が少しずつ回復しているように私には感じました。


これも解決の一つの形です。

状況は変わっていません。傷つきもまだ回復していないでしょう。「この状況になれば誰にでも起こりうることで、傷つくのはやむを得ない」という気持ちになったからだと思います。ブリーフセラピーでいうところのノーマライズです。

ノーマライズ:その状況で傷つくのは当然であると一般化して肯定する


うつ病で怖いのは自殺です。国を挙げてメンタルヘルスの推進を行ったのは自殺者を減らすためもあります。うつ病の患者数は、女性が男性の2倍です。一方、自殺者の数は、男性が女性の2倍です。

女性の自殺者が少ないのは、他者に相談したり、話を聞いてもらったりする機会が男性より多いことも要因の一つと言われています。


他者との関わりを持つ手段としては、手前味噌ではありますが、カウンセリングは最適だと思います。

日常生活で関わりのない相手だからこそ、普段話せないことも話せます。公認心理師には法律で守秘義務が課されています。安全な場所で自由に話すことを体験してみて下さい。