【クライエントの声】トラウマを乗り越えた先には明るい世界がありました

執筆者:公認心理師・山崎孝

※ご本人を許可を得て紹介しています。
※個人の感想です。効果を保障するものではありません。

<当時の悩みとカウンセリングを受けたきっかけ>

今思えば、30才を過ぎた頃からだったと思います。なぜか自分が感じた感情や思いをスムーズに表現できなくなっていました。今は楽しい場面だから「楽しく」、ここは喜ぶ場面だから「うれしそうに」、これは悲しい話だから「悲しく」と、その場の状況にあわせて自分を表現するようになってました。頭で考えてから表現するので、自分の心から出た感情なはずがありません。

何が楽しくて、何がうれしくて、何に腹が立つのか。自分の感情が自分でよくわからなくなっているからやりはじめたのだと思いますが、まわりの人の目が気になり、いつの間にか客観的に自分を観察しながら「この表現であっているよな、私これでいいよね」と自分の振る舞いを確認するのがクセになっていました。

それまで夢中になっていたことにもそれほどテンションが上がらなくなり、この先、心から楽しいと思えることはあるのかな・・・と将来に対する漠然とした不安感もありました。

ただ、みんな感じていることなのかな、一時的なものかもと何かおかしさを感じながらも、特に対処することもなく何となく過ごしていました。

そんな中、この先の私はどうなるのかな?と、ちょっとした好奇心から占いに行きました。学生時代ぶりの占いで興味本位でふらっと行ったつもりが、そこで「心に鎧を着ている」「自分の感情を隠しているね」「自分に自信がないの?」「まわりを敵だと思って刀を振りまわしているように見える」とズバッと心の中に踏み込まれ、まさにそれまで漠然と感じていた「自分を守るのに必死な自分」に直面することになりました。今まで自分の内面にスポットを当てることをしてこなかったこともあり、突然の想定外の出来事に呆然としてしまいました。それから、自分が今まで心の中にためていた思いや感情とはじめて向き合いました。

自分に自信がない、嫌われる気がする、まわりからどう思われているか不安、誰よりも一生懸命やらないと認めてもらえない・・・と、あげればきりがないくらいたくさん出てきました。

それまでは、心も身体も元気いっぱいで、ちゃんとできている、どちらかといえば前向きな人間だと自分で思い込んでいた分、あまりのネガティブな本心に驚愕しました。

そうやって、自分自身の心に気づくことはできましたが、さてここからどうしよう。これからもいろいろな人と出会いたいし、楽しい人生を送りたい。そのためにも今の自分ではダメだ、自分を変えたい!と決心したのですが、その方法がまったくわかりません。何気なくネットの中にヒントはないかと探していたところ、山崎さんのHPにたどりつきました。何かアドバイスをもらえるかもしれないと申し込みををしました。

<カウンセリングを受けての変化>

カウンセリングを受けるのは初めてで、正直どんなものかわからず、はじめは緊張でいっぱいでした。ところが気づけば、今まで家族や友人など誰にも話したことのない自分の気持ちを話していました。

今まで自分の考えや感情をあまり表現してこなかったし、悩みやネガティブな感情は他人に話すものではないと思い避けてきたため、カウンセリングでありのままを話すことは「私の気持ちを聞いてくれる人がいるんだ、その時思っていることを、感じていることを素直に話してもいいんだ」と、とても新鮮な感覚だったのと共に、安心して心を見せられる場所というのがあるのだな・・・と私にとって新たな発見でした。

ただ、何でも話していいよオーラ全開の山崎さんでしたが、ずっと心の底にひっかかっている過去のトラウマのことに関しては、どうしても話す勇気がなく、できれば話さずに今の問題を解決したい、もし話して今の悩みと関係なかったら後悔するし、傷つくだけかな・・・という思いが強く、そのことには触れずにカウンセリングを受けていました。

カウンセリングを続けていく中で、自分の考え方のクセを見つけ修正していくという作業をくり返すことで、少しずつ自分の陥りやすいパターンがわかっていき、その対処方法を身につけることができていきました。

しかし、自分の価値がなかなか認められず、あと一歩のところで根っこにある思考が変えられないなと感じていました。

そんな時にふと思うのは、トラウマのことでした。

もし、このままカウンセリングを終えても、トラウマのことに触れないままだと不完全燃焼な気がするし、このままでは結局、根本が変えられないのではないかと思いはじめ、山崎さんに話してみることにしました。

ただ、何があっても、一生誰にも話さないと決め、それをもう20年以上続けていることだったので、その事について話すのにはとても勇気がいり、はじめは探り探りでしか話せませんでした。一度では話の核心には触れられず、その事に対するイメージを伝えるばかりでしたが、それでも山崎さんは真剣に聞いてくださり、今の悩みにとても深い関わりがあると、トラウマと向き合う方向に話を進めてくださいました。

それまでのカウンセリングの積み重ねで、山崎さんになら話しても大丈夫。受け止めてもらえるし、否定されることはないだろうと思えるようなったから、話す決心ができたのだと思います。

それからトラウマを乗り越える作業をすることになりましたが、途中は本当に自分でもどうなるのか先が見えず、精神的につらい時期もありました。今振り返っても、あの時はしんどかったなと思いますが、それを越えた先には明るい世界があり、本当にやってよかったと思いましたし、そこまで一緒に取り組んでいただいた山崎さんに感謝しています。

山崎さんが覚えていらっしゃるかわかりませんが、自分に厳しいルールを課している私に、「こんなしんどいことをする必要はない!Aさんはこんなこと必要な人じゃない!」と言ってくださった一言が強烈なメッセージとして、ずっと心に残っています。言葉だけでなく、声のトーンやジェスチャーも含めて心にくるものがあって、「私にもちゃんと価値があるんだ」と自信を持てるようになるきっかけとなったのはもちろんですが、「本当に私と向き合ってくれている、一生懸命救おうとしてくれている、信頼して大丈夫なんだ!」とズシッと響きました。

どこか心の隅で人を信じてこなかった私にとってはとても大きな出来事で、この言葉があったらから山崎さんを信じて、トラウマの話からも逃げずに向きあえたのだと思います。

<カウンセリングを終えて>

ようやく、何年も心の底に抱えていたものを追いやることができました。何であんなに重たいものを大事に持っていたんでしょうか。もっと早くに自分で気付いて放り出せていればよかったのですが、この先あと何年も持ち続けるなんて事態にならず、「今」解決できてよかったです。

トラウマのことだけでなく、自分の心との向き合い方や、いろいろな考え方を教えていただき、物事に対する見え方が変わりました。当初の悩みもはじめは「何でこんなことになったんだろう?」と疑問ばかりでしたが、今では自分なりに納得ができて、うまくやっていく道筋のようなものが見えてきました。貴重な経験をさせてもらい、少し成長できたのではないかと思います。

以前に比べ自己主張もできるようになり、職場で今まで言わずに飲み込んできた事も、今ではだいぶ言えるようになりました。罪悪感からとらなかったケーキやジュースも今は好んでとるようになり、楽しみが増えました。気持ちも行動も明らかに変化しています。

時々、悪い思考パターンにはまることがありますが、その度にカウンセリングを思い出して「これはあのパターンや!」と自分なりに抜け出そうとやってみています。

これからも自分を大切に、自分の価値を忘れないようにしながら前を向いていこうと思います。つまづきそうになったら山崎さんの顔を思い出しますね。

トラウマ体験をお話しになるまでの葛藤は伝わってきてました。Aさんにとっての「その時」を待ちながら面談を重ねてました。決して無理にこじ開けようとはしませんでした。「その時」を向かえてからは、Aさんが自分のペースで進むのに寄り添っていただけです。Aさんは自分で目的地にだとりつかれました。

あの日、カウンセリングルームに入ってきたAさんの表情を見て、今日で終わりそうだなと思いました。自力で乗り越えられて、大きな自信になったと思います。ありがとうございました。