
執筆者:山崎 孝
公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士
コミュニケーションとは、単なる会話ではありません。お互いの気持ちを理解し、関係を深めていくための大切な土台となるものです。
夫婦に起こる深刻な問題の一つに不倫がありますが、コミュニケーションの問題が不倫の背景にあるケースはめずらしくありません。コミュニケーション悪化の結果としてのセックスレスもめずらしくありません。性格の不一致も、実は対話の仕方の問題であることが少なくありません。
このように、夫婦関係の様々な問題は、コミュニケーションと深く結びついています。
以下のような状況が当てはまる場合は、夫婦のコミュニケーションに改善の余地があるかもしれません。
コミュニケーションの問題は、日々の生活に様々な影響を及ぼします。
コミュニケーションの問題が続くと、より深刻な影響が現れることがあります。
「話し合おうとすると、いつも感情的になってしまいます。最近は話し合うこと自体を避けるようになり、会話が減っています。このまま関係が冷めていくのではないかと不安です」
日常的な出来事での意見の違いや、些細な約束の行き違いから始まることが多い。
一方が感情的になると、もう一方も防衛的になり、お互いの気持ちが硬くなっていく。
何が問題だったのかという本質から離れ、お互いの言い方や態度を責め合う状況に。
このパターンが繰り返されると、話し合い自体を避けるようになってしまいます。
「日常的な会話はあるのですが、大切な話になると互いに避けるような感じです。本音で話せる関係を作りたいのですが、どうすればいいのか分かりません」
重要な話題での意見の違いや対立を恐れ、そのような話題を避けるようになる。
天気や食事、仕事の簡単な出来事など、表面的な会話だけで済ませてしまう。
本音を話さない状態が続くと、徐々に心の距離を感じるようになる。
大切な話を避ける習慣が定着し、より一層深い話題に触れにくくなる。
単なる会話の量を増やすだけでは、関係は良くなりません。お互いの気持ちに寄り添い、理解し合おうとする対話が大切です。
「仲が良い」ことと「関係が良い」ことは、実は異なります。趣味や好みが合い、休日を楽しく過ごせるカップルでも、重要な決定や将来の話になると対立が生じることがあります。これは、表面的な会話は出来ていても、お互いを深く理解し合うコミュニケーションが不足しているためかもしれません。
また、自分の気持ちをうまく伝えられないことで誤解が生じたり、感情的なやり取りになってしまうこともあります。相手に気持ちが伝わるコミュニケーションには、まず自分自身の気持ちを理解することが大切です。
以下のページでは、お互いを理解し合うための基礎として、以下のポイントについて具体的に解説しています。
感情的になりすぎず、問題解決につながる建設的な対話には、具体的な手法があります。
多くのカップルは「話し合い」が苦手だと感じています。些細な会話から感情的になってしまったり、重要な話題を避けてしまったりすることは珍しくありません。しかし、これは適切な対話の方法を知らないためかもしれません。
効果的な対話には、手順とコツがあります。例えば、問題解決志向の対話法であるDESC法は、感情的になりやすい話題でも、建設的な話し合いを可能にします。また、相手の気持ちに寄り添う「共感的な聴き方」を身につけることで、より深い理解が生まれます。
以下のページでは、具体的な対話の方法を紹介しています。
より良い関係を築くためには、日々の小さな実践が大切です。知識だけでなく、具体的にどのように実践していくかが重要になります。
例えば、「話し合いの仕組み作り」は、忙しい現代の夫婦にとって特に重要です。定期的な対話の時間を確保し、その時間を効果的に使う方法を知ることで、より深い対話が可能になります。
また、言葉の背景にある気持ちを理解する「メタメッセージ」の概念を知ることで、日常的な会話の質が変わってきます。同じ言葉でも、状況や文脈によって異なる意味を持つことがあり、その理解が深い対話につながります。
以下のページでは、実践的な内容として以下のようなポイントを解説しています。
カウンセリングでは以下のサポートを行います。
以下のような方のご利用をお勧めします。
夫婦関係を育む良好なコミュニケーションには、正しい知識と実践が大切です。すぐには変わらないかもしれませんが、少しずつ実践を重ねることで、必ず関係は良い方向に変化していきます。
コミュニケーションの改善に悩まれている方は、ぜひ専門家に相談することをご検討ください。当相談室では、お二人の状況に合わせた具体的なアドバイスと支援をご提供させていただきます。まずは個別のカウンセリングから始めることも可能です。