そもそもカウンセリングって何? ー 心理療法・コーチングとの比較より

コラム

カウンセリングという言葉は多くの人がご存知でしょう。しかし、具体的にどのようなものであるかは「話を聴いてもらって…それからは、よくわからない」という感覚の方が多いと思います。

カウンセリングと似たものに、心理療法とコーチングがあります。それらと比較する形で、カウンセリングとは何か?を説明します。カウンセリングを検討されている方の参考になれば幸いです。

カウンセリング=カウンセリング+心理療法

カウンセリングと心理療法は起源を異にします。しかし現在では、カウンセリングは心理療法を含むと定義されるようになりました。

「(広義の)カウンセリング」=「(狭義の)カウンセリング」+「心理療法」

ここでは現在の定義に逆らって、カウンセリングと心理療法を区別して説明します。その方が理解しやすいと思います。

対象者

よく見られる説明に、対象者の心理的健康度の違いがあります。

  • カウンセリングの対象者:心理的な健康度が比較的高い人
  • 心理療法の対象者:心理的な健康度が低い人
  • コーチングの対象者:心理的な健康度が高い人

何をもって高い、低いとするのか?そもそも、人の心の状態は一定ではないので、このような定義に意味はない、薄っぺらすぎるという批判があります。まったくその通りだと思います。説明するのは何らかの目安が必要なので、やむを得ないとも思います。

支援の方向

支援の方向には、わかりやすい違いがあります。

カウンセリングは職業相談や進路相談など重篤でない悩みの援助から始まりました。また、カウンセラーとの対話を通じて自己や他者の理解を深める。悩みの対処を通じて人間的な成長を目指すという面もあります。

心理療法はフロイトの精神分析から始まりました。ノイローゼの「治療」を目的として生まれました。その後、フロイトの理論を肯定または否定する形で様々な学派が生まれ発展して行きました。いずれもテーマは精神疾患などの「治療」です。

コーチングのテーマは「目標達成」です。目標に向かって行動を起こすことを支援します。

カウンセリングで悩みが解決すると、目標達成に向かう欲求が芽生えて、コーチング的な関わりをリクエストされることがあります。目標達成の過程で、不安や悩みが生じることは当然あります。対人支援職としては、カウンセリングとコーチングの両方を習得することが望ましいと思います。

クライエントとの関係性

クライエントとの関係性は3者とも同じです。クライエントが主役で、カウンセラー(セラピスト・コーチ)は支援者です。カウンセラー(セラピスト・コーチ)は、クライエントが自力で望むところ(解決・目標達成など)へ到達するのを支援します。

コーチングでよく使われる表現は「クライエントはマラソンランナー、コーチは伴走者」です。わかりやすい比喩です。

認知行動療法では、協同的経験主義という言葉が使われます。クライエントとセラピストは、協同して心理療法を行っていくという意味です。

カウンセリングでは、ストレートに対等な関係ですと伝えることが多いです。

エンパワーメントという言葉あります。クライエントが自分の力に気づき、それを自分で引き出して、自己決断できる力を持てるようになることを意味します。カウンセラー(セラピスト・コーチ)は、常にエンパワーメントを意識してクライエントに関わります。

認知行動療法には「クライエントがマイ・カウンセラー(自分自身のカウンセラー)になることを支援する」という言葉があります。

いずれもクライエントには主体的な姿勢が求められます。レストランで料理が出てくるのを待つかのような受身的な姿勢では、望む結果を得られないでしょう。

セッションの共通点

コーチング・カウンセリング・心理療法のセッションは対話によって進められます。対話の質は3つの点で共通しています。双方向、継続性、個別対応の3つです。

コーチ・カウンセラー・セラピストとクライエントは、お互いに対等な立場で会話を交わしながらセッションを進めていきます(双方向)。1回のセッションで解決・目標達成に至ることは困難なことが多く、継続的に関わっていきます(継続性)。人には様々なタイプがあり、問題にも様々なタイプがあります。それぞれのタイプに合った対応を行います(個別対応)。

セッションの相違点

相違点は、カウンセラー(セラピスト・コーチ)が話す量と、セッションが構造化されているか否かです。

カウンセリングとコーチングは、コーチ・カウンセラーが「教える」よりクライエントの内側から「引き出す」を重視します。クライエントが自分の想いを言語化するのを支援することによりエンパワーメントします。

何となく感じていることを明確な言葉で表現されたとき、気づきが起きやすくなります。心が整理されて迷いがなくなり解決したと実感するケース。気づきが意欲を生み、解決や達成に向かう行動につながるケース。解決の形は様々です。

クライエントが話すことが大切なので、クライエントが話す量が多くなります。話す量は、クライエントが7から8、カウンセラー(コーチ)が2から3くらいの割合になります。

認知行動療法は心理教育(理論・概念・技法の説明など)を重視します。そのためセラピストの話す量が多くなります。5:5が一般的です。ただし、心理療法は多くの学派があるのでひとくくりにはできません。

カウンセリングのセッションは構造化されていません。セッションでは、クライエントが話したいことを自由に話し、考えたいことを自由に考えます。カウンセラーは、そのプロセスに寄り添います。

認知行動療法は(ガチガチに)構造化されています。全体の流れを初期、中期、終結期、フォローアップと構造化します。1回のセッションも毎回アジェンダを設定して、アジェンダに沿って進めます。

コーチングは、コーチングフローという構造化された流れに沿って進められます。コーチは常にコーチングフローを頭に置いてセッションを進めます。

まとめ

違いは対象者(心理的健康度)と支援の方向性(相談・治療・達成)です。ただし、きっちり線引できるものではありません。

カウンセリングで悩みが解決すると、目標達成に向かう欲求が芽生えて、コーチング的な関わりに移行することがあります。コーチングにて目標達成に向かう過程において、不安や悩みが生じて、一時的にカウンセリング的関わりになることもあります。

いずれも対話によって進められます。双方向・継続性・個別対応という特徴があります。関係性は、クライエントが主役で、カウンセラー(セラピスト・コーチ)は伴走者です。クライエントが自分の力に気づき、それを自分で引き出して、自己決断できる力を持てるようになることを支援します。

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