「自分に自信がない」は、当カウンセリングルームで多く受ける相談の一つです。そのような相談を受けた場合、自信そのものに焦点を当てることはほとんどありません。「自分に自信がないから」と原因を自信に求めると、堂々巡りに陥ることが多いからです。
HSPもアダルトチルドレンも同じように考えます
「HSPだから」「アダルトチルドレンだから」も同じです。なぜ堂々巡りに陥るのか。どのように考えるのが良いのか。当カウンセリングルームの取り組みを紹介します。
※ 唯一の方法ではありません。他の援助法を否定するものではありません。
「自信がない」はラベル
「自信がない」はラベルです。複数の困りごとをひとまとめにして表現するためのラベルです。
ラベルは簡潔に伝えるには便利な表現です。一方、実態がわかりません。Aさんの「自信がない」は「他人の目が気になる」ことかもしれません。Bさんの「自信がない」は「断れない」かもしれません。解決に向かうには具体化する必要があります。
「他人の目が気になる」や「断れない」は「自信がない」より具体化されていますが、まだ足りません。もっと具体化する必要があります。
例えば、「会議で発言できない」「休憩中の雑談に加われない」「行きたくない飲み会を断れない」「大切な用事があるのに残業を断れない」などが考えられます。
実際のカウンセリングでは、「会議で発言できない」をさらに具体化します。すべての会議なのか。特定の会議なのか。出席者によって異なるのか。会議のテーマによって異なるのか。等々です。
「自信がない」はラベルです。原因ではありません。HSPもアダルトチルドレンもラベルです。
「自信がない」は説明
原因を自信に求めると堂々巡りに陥るのは、「自信がない」は原因ではなく、同じ内容を言い方を変えて表現しているに過ぎないからです。
会議で発言でけへんねん
何で?
自信がないねん
何で自信ないの?
うまくできたことがないねん
何ででけへんの?
うーん、避けてるから、、チャレンジしないから、、できるようになれへん
何で避けるの?
自信がないから、、、
、、、
図にするとわかりやすいと思います。
言葉を変えて同じ説明を繰り返すことを、同語反復(同義語反復・トートロジー(tautology))といいます。堂々巡りを繰り返すだけで説明になっていない状態です。
同語反復に陥らない会話は以下のパターンです。「自信がない」で止まらず、掘り下げて具体化する会話になっています。
会議で発言でけへんねん
何で?
自信がないねん
どんな風に自信がないの?
ちゃんとしゃべれるかなあ、とか
ちゃんとしゃべられへんかったら、どうなるん?
浅いこと言ってるなあとか、何にもわかってへんなあ、とか周りに思われる
それが不安で発言でけへんの?
そうやねん
彼の「自信がない」の正体は「不安」でした。彼にとって発言を否定されることは、彼という人格を否定されるくらいのダメージを負うのかもしれません。対話を重ねていけばより明確になっていくでしょう。対話が深まっていく予感がします。少なくとも堂々巡りはありません。
「自信がないから」で止まってしまうと、「自分をほめてあげましょう」のような、ふんわりした対処で終わりがちです。それが有効なケースもありますが、あまり役に立たないと感じる方の方が多いのではないでしょうか。
問題がわかれば答えは半分わかったようなものだ
問題と解決に関する偉人の言葉に以下のようなものがあります。
「解決法がわからないのではなく、問題がわからないのだ」
「問題がわかれば、答えは半分わかったと同じだ」
「自信がない」で堂々巡りに陥っているときは、本当の問題がわかっていないと考えるのがよさそうです。
ここまでの内容を整理してみます。
- 「自信がない」を原因と考えると堂々巡りに陥る
- 「自信がない」は複数の困りごとをひとまとめにしてつけたラベル
- 「自信がない」は言葉を変えて同じ説明をしているに過ぎない
- 「自信がない」を掘り下げて問題を具体的事例に落とし込めれば解決に向かえる
- HSPもアダルトチルドレンも同じように考えると解決に向かいやすい