自分をつらくさせる考え方のクセ ー 根拠がない推論
自分自身をつらくさせてしまう考え方のクセの一つに「根拠がない推論」があります。
明確な根拠があるわけではないのに悲観的な結論を出してしまうことです。過去の経験が現在の経験を客観的に見えにくくしています。
LINEなどで既読スルーされるととても不安になってしまう人は、過去に同じような状況で苦い経験をしたことがあるのかもしれません。その経験を根拠に、「彼(彼女)は私に飽きたのだろう」などの結論を出しているのかもしれません。過去とは相手も状況も違うのに。
「根拠がない推論」のクセを持つ人は、あらゆる状況でそうしているわけではなく、同性の友人関係でよく見られるなど、その人独自の傾向があるようです。対処の第一歩は、「根拠がない推論」をしやすい傾向を自覚することです。
次に、以下の質問を自分に投げかけてみます。現実に基づいて判断するための材料が集まるはずです。
【状況】
友人のアドバイスがほしくて送ったLINEを既読スルーされた。
【予想できる最悪の結果は?】
重いと思われている。
【予想される最良の結果は?】
しっかり言葉を選んで返事を書こうとしてくれている。頼ってくれてうれしいと思っている。
【最悪でも最良でもない現実的な結果は?】
料理中で手が離せない。いつもすぐに返事する人じゃない(いつも通り)。テレビドラマが終わってから返事しようと思っている。
このように考えてみると、最悪はほとんど起こり得ないことがわかると思います。仮に起きたとしても、ごめんねで済むでしょう。もし関係が壊れたとしたら、その程度で壊れる関係は、あなたにとって重要ではないのかもしれません。
考え方のクセを持ち続けているのは、それが役に立ってきたからです。しかし、裏目に出ることもあります。そのようなこともあると認識して、適切に対処できればOKです。技術ですので、練習すればできるようになります。
「感情的決めつけ」という考え方のクセがあります。事実ではなく自分の感情によって物事を判断することです。「こんなにさびしいのは、私は誰にも好かれない人だからだ」というような考え方です。明確な根拠に基づかないという点では「根拠がない推論」と同じです。
「感情的決めつけ」が厄介なのは、衝動的に決断や行動を起こして後悔したり、取り返しのつかない結果を招いてしまうことです。
対処は上述した「根拠がない推論」と同じですが、感情が落ちついた状態で行うことです。感情が落ちつくまで決断を先延ばしすることが好ましいです。
感情が高ぶっているときは、論理的思考はお休みしています。物事を一面的にしか見ることができません。感情の高ぶりがおさまれば、上述の多面的に見るため対処が可能になります。