自己肯定感の低さが害なのではなく、不安とうまく付き合えないこと、不安を過度に回避することで、ますます自己肯定感を持てなくなる悪循環が害となります。イチローさんも同意して下さると思います。
イチローさんが、自己肯定感について懐疑的な見解を示した記事が Yahoo! にアップされています。
イチローさんは、自己肯定感が高い人の謙虚さに疑問を投げかけ、自己肯定感が強いことが必ずしもポジティブな結果に繋がるわけではないと指摘しています。また、不安を感じることの重要性を説き、常に成長を目指す姿勢が大切だと述べています。
イチロー氏は「自己肯定感っていう言葉、僕は目にしたことないです。僕のイメージですよ。すっごくなんか…僕にとっては気持ち悪いことですね」と懐疑的だった。
「明らかにダメなのに否定されないということはつまり、自分でも振り返らない。いいことしか考えない。第3者からも厳しいことは言われない。そうなったら。人間ですから弱い生き物なんです。僕は堕落すると思いますけどね」と話した。
イチロー氏「謙虚さ出るんですか?」 自己肯定感へ疑問…大事にしたい不安(Full-Count) – Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/f14d7792f1922736758803c92b39356347eeafa0 (令和5年12月21日(木)閲覧)
イチローさんの指摘はその通りで、例えば「Does High Self-Esteem Cause Better Performance, Interpersonal Success, Happiness, or Healthier Lifestyles?(自尊心が高いと、業績が良くなったり、対人関係で成功したり、幸福になったり、より健康的なライフスタイルになったりするのか?)」という論文には、
自尊心が高い人は、自分自身を高く評価し、自分の能力や価値を認めているため、自己批判を避ける傾向があります。そのため、自分の行動や考え方について客観的に反省することが難しい場合があります。
という指摘があります。
また、
自尊心の高い人は、自分が所属するグループに対する好意を強く持ち、他のグループに対して偏見や差別を助長する可能性がある
という指摘もあります。
どちらも可能性であり、高い自己肯定感を否定するものではありませんが、ことさら「自己肯定感を高めよう」と強調する風潮には賛成できません。
自己肯定感が低いこと、それ自体が悪いのではなく、不安への直面を過剰に回避して、自己成長の機会を逃して、自己肯定感が低下して、更に不安に直面できなくなり、更に…という悪循環がダメなのです。
きっと、イチローさんは、この考えに賛成してくれると思います。
自信(自己肯定感、自尊感情、自己効力感)は、当カウンセリングルームのど真ん中のテーマです。興味がある方は以下のページも是非ご覧下さい。また、機会があればカウンセリングもお試し下さい。