By: Karen
認知行動療法では、思考や行動を紙に書き出して検討する場面がたくさんあります。セッション中はもちろん、「書く」宿題をお願いすることも日常的です。
「ふ〜ん」といった表情で宿題の説明を聴いているクライエントが、「○○に気づきました」「やってよかったです」とおっしゃるのは珍しいことではありません。
「書く」のは面倒ですが、面倒の向こうには、得られるものがたくさんあります。「書く」ことの意義をいくつか紹介します。
頭の中に空きスペースができる
行き詰まっているとき、悩んでいるとき、頭の中にはたくさんものが詰まっています。そして、頭の働きが鈍くなります。行き過ぎると思考停止になることも。
PCでたくさんのソフトを同時に動かすとメモリの空きが少なくなります。すると、動作が重くなったり、時にはフリーズします。それと同じような状態です。
頭の中に詰まっていることを書き出すのは、頭の中から外に出すということです。そうすることによって空きスペースができます。空きスペースができると、その中で考えを巡らすことができます。PCで余計なソフトを終了させると動作が軽快になります。それと同じですね。
自分事から他人事へ
他人のことはよく見えても、自分のことは見えないものです。
書き出すことによって、自分の頭の中を少し距離を置いて見ることができます。完全に他人事として見るのは難しくても、広い視野で自分を見ることができます。
高度な処理が可能に
465×25=
このかけ算を暗算で解けますか。計算が苦手な私にはとてもムリです。そんな私でも、紙に書いて筆算すれば容易に解けます。
たくさんの事柄が頭の中にあるとき、頭の中だけで関連づけたりグループ分けするのは大変です。
そんなときでも、付箋紙などに書き出せば、グループ分けなど整理が容易になります。
これだけのメリットがありますから、書かない手はないですね。
今年の総括と来年の目標。年末年始は書いて考えるのに絶好の機会です。頭だけではなく、手も動かしてみましょう。