うつ病にならない正しい悩み方

執筆者:山崎 孝(公認心理師・ブリーフセラピスト・家族相談士)

大阪の淀屋橋でカウンセリングを行っている山崎です。カウンセラーに話すことは、カウンセラーを通して自分自身と対話することです。カウンセラーは言わば鏡です。鏡を見るからこそ気づくことは日常にたくさんあります。

洞察

私はポジティブ思考否定派です。不安になったり、悩んだりするのは、それが必要だからです。不安が致命的な傷を回避させてくれます。悩むのは立ち止まって考える必要があるサインです。

とは言っても、過度に不安になったり、そして過度に悩んだりするのはマイナスです。正しく不安がり、正しく悩むことが大切です。

あるクライエントがこんな話をしてくれました。彼は親子2代で自営業をされています。

「実は、今年になって売上が下がってるんです。何が悪かったのだろう? 好調にあぐらをかいて油断したからだろうか? 来月の支払は大丈夫だろうか? とか考えたりして、不安がどんどん大きくなっていきました。夜中にふと目が覚めるときもありました。」

カウンセリングの目的をほぼ達せられて、今回で終わりという面接でした。「新たな問題?」と身構えました。ところが、そうではありませんでした。

「ふと、以前勉強したマーケティングの本を開いたんです。すると、色々なことに気づき始めたんです。原因はこれに違いないとか、○○を△△してみようとか、アイデアがぽんぽん浮かんできました。」

「いくつかの施策を実施すると決めて、その段取りも決めていきました。気がついたら、不安はどこかに行って、前向きな気持ちになってました。ああ、これが山崎さんが言ってた『今、ここ』にいることなんだなあと思いました。

以前にも書いたように(「距離を置く」「今、ここ」)、うつ病を再発しやすい人に見られる特徴に「反すう」があります。不安なことを何度も「反すう」して考え続けます。そして不安がどんどんふくらんでいきます。

彼はマーケティングの本を読むことによって、思考が「今、ここ」にシフトしました。不安は未来に対して感じます。もし、彼があのまま考え続けていると、不安が頭の中でますます大きくなっていたかもしれません。

不安や後悔といった気持ちに包まれたとき、ちょっとした行動(彼の場合は読書)を起こすことによって、「反すう」から逃れて「今、ここ」に戻ってくるきっかけが生まれます。

このようなことを知ってるだけでも違うはずです。